ギャロップレーサー2000


【ネタ】…ゲーム ギャロップレーサー2000(2000.02.17) テクモ
 
【説明】…、テクモが製作・販売した3Dジョッキーレースゲーム
プレイヤーは騎手となり競走馬に騎乗し勝ち抜いていき、用意された様々なイベントをこなしていくのが基本である。条件を満たすと外国の馬や過去の名馬に騎乗できるようになったり、外国のレースに騎乗できるようになる。
本作はシリーズ4作目でありPS版の集大成と言える。ナビゲーターに「川崎弥生」(かわさき やよい)が登場した。
前作(ギャロップレーサー3)に登場したオリジナルホースシステムはさらに洗練され、ホースタイトルやアビリティの既成概念が仔の能力に大きく起因するようになる。競走馬データを2000年度仕様に一新。テイエムオペラオーアドマイヤベガらが使用可能になった。

 
【独断】…悪魔競馬ゲーム
奇しくも『ブルージェンダー』の放送期間中に発売された、本作『ギャロップレーサー2000』。しかし、あの虫アニメとはなんら関係ない、不朽の名作である。
私はこのソフトが発売された頃にリアル競馬の方にハマっており、土日はよく立川のWINS(場外馬券場)にたむろしていた。東京競馬場開催のG1であれば律儀に府中まで通ったものである。
私は血統なんかには詳しくないし、正直馬体を見ても強い馬や調子の良い馬などは判らない。わりとミーハーにスポーツ新聞が煽るドラマに乗り、強くて有名な馬が好きだった。(あと、払い戻しが好きだった)
 
当時、私の友人にも競馬ファンが何人かいたのだが、その中で異彩を放っていたのが大川慶次郎信者のBくんである。彼はなかなかエキセントリックで面白い人であった。
大川語録、大川エピソードは全て網羅。「生き物としてのサラブレッドが好き」という姿勢も大川先生から継承しているようで、さして馬自体に思い入れのない私に対しても、実に嬉しそうにあらゆる馬の特徴を語る。私がイヤそうな顔をしていても。
1999年末に大川先生が亡くなられたときには、相当ショックだったらしく、しばらく連絡が着かなくなった。
彼はサイレンススズカ予後不良となったときも数日間学校を休むというトランザムを発動しており、その筋金入りたるや変人の域に達していたと言える。今思うと変わった高校生だった。
それから10年経った現在、Bくんが何をやっているのかは知らんが、競馬界の哀しいニュースがあるたびに仕事を放棄していることは間違いないであろう。

 
…えー…そんな思い出話はどうでもよろしい。ギャロップレーサー2000。
プレイヤーは騎手兼馬主となり競走馬に騎乗し、レースを勝ち抜いていき、用意された様々なイベントをこなしていく。
…騎手兼馬主?
そう、本作は自分で競走馬を所有し、その馬を自分のお手馬(特定の騎手が騎乗し続ける馬)として騎乗していくのである。
プレイヤーは自分のお手馬を買い、その馬でレースを勝ち抜き、お金を貯めてより強い馬を買い、さらにグレードの高いレースを目指していくというわけだ。(時折騎乗依頼もある)
ちなみに、登場する馬はほぼ全て実在した競走馬。ソフト発売当時の現役馬もいるし、過去の名馬も沢山出てくる。
 
後のシリーズ作品に出てくるような、調教師やライバルジョッキーといったキャラクターは存在しない。『2000』は「自分の好きな競争馬に乗ってレースに出る」というのを主題としていて、それ以外の要素は良い意味で簡略化されている。 
馬には数種類の成長パターンがあり、それに応じてピークの期間が決まる。調教師は存在しないので、年齢によって勝手に成長して勝手に衰える。別にプレイヤーが馬をトレーニングをするということもない。本当にレースオンリーだ。
 
馬の強さは非常にわかりやすく表示されている。
フリーハンデ」という競争馬の偏差値みたいなものが設定されていて、その数字がまず絶対なのである。
フリーハンデ50、つまり偏差値50の馬だと、オープンレースには出られるけど勝ち負けには絡まない…というくらいの実力だ。
55くらいだと通常のオープンレースはなんとか勝てるが、重賞になると良くて入着といった具合。
57、8だと重賞も勝てるときは勝てる。この辺の実力の馬は多いので、騎乗次第という感じ。しかし、G1での勝負は厳しい。
60になればなんとかG1で勝負できる。ライバル次第だが、運と騎乗が最高に良ければギリ勝てるレースもある。
62、3あれば、G1でも入着常連の実力と言えるだろう。レースを選べば引退までにいくつかタイトルを獲れる可能性もある。
65にもなれば日本のG1は連対確実。名馬の部類。しかし、海外G1では「よくいるレベル」。外で勝ちに行くのは難しい。
67、8であれば、日本にはほぼ敵なし。海外G1でも現実的に勝負できるレベル。
70になると、海外にもライバルとなる馬は数頭しかいない。世界トップレベル。海外G1も狙って獲れる。
それ以上は、もはやレジェンドクラス。不利な条件下でない限り、世界全てのレースで当たり前のように勝てる。
(ちなみに牝馬はレースでの斤量が軽減されるという設定で、表示フリーハンデ+2の実力がある)
 
上記の通り、フリーハンデが少し違うだけで馬のグレードはかなり変わってくる。
競馬は一着以外が全て負けなので、ライバルたちが横一線に並んでいる中、文字通り頭一つ抜けられるかどうかがポイントになる。
プレイしていた感覚で言うと、距離適正やサブパラメータがほぼ同じ馬同士がレースをした場合、共に騎乗がパーフェクトであったなら、フリーハンデ1の差でゴール時には大体1馬身の差が付く。
フリーハンデが2、3も違えばそれをひっくり返すのが容易でない事は想像に難くないだろう。
プレイ開始当初はお金があまりないし、ジョッキーとしてのキャリアも浅いので弱いor普通の馬しか売ってもらえない。タイトルを獲得したり一部の条件をクリアしていけば徐々に強い馬を売って貰えるようになる。

 
プレイヤーはお手馬のスケジュールを決めて、いざレースへ。
レース中の操作は単純ながらもかなり奥が深い。
スタートはタイミング良く、道中折り合いをつけ、その馬の脚質に合わせた展開をつくる。
位置取りが悪いと馬は機嫌を損ねてスタミナを大きくロスしてしまう。かといって無理矢理加減速をすればそれもまた脚を減らすことになる。当然、ハイペースだと先行馬が、スロペースだと追い込み馬が不利になる。
自然な展開で良い位置に着け、ペースを調整し、絶好のタイミングで仕掛け、バタバタにせず脚を残しもせず、100%の力を出し切らせるのが理想の騎乗だ。(リアル競馬なら、脚を残して勝てるなら馬の負担が少ないのでそれはそれで良い)
ベストな騎乗が出来れば、多少のフリーハンデの差ならば覆すこともできる。
 
…しかしだ、中にはどうやったって正攻法では勝てない相手もいる。
このゲームはライバル馬たちが年度更新ごとにランダムに生成されるのだが、中には伝説的な名馬と世代がかぶってしまう事もある。
それでなくとも、私はアホなので50台のフリーハンデでも当たり前のようにG1に挑戦したりする。リセット前提でハナからかなりむちゃな出走をやらかす。
ぶっちゃけフリーハンデに4以上の差が付いていれば勝つのはまず不可能だ。普通に考えたらその時点で勝ちは諦めるしかない。
 
…だが、しかし、このゲームにはとある必殺技がある。このゲームをやり込んだ人なら御存知であろう。
そう、進路妨害だ。
そのレースの大本命である一頭をマークし、4コーナーを回った時点でそいつの前に着ける。あとは直線でひたすらそいつの進路を妨害しまくって勝つのである。
実際の競馬であればライセンス剥奪もやむを得ないような露骨な妨害をしても、本作ではレースの結果は覆らない。ファンや関係者に刺されることもない。ゲーム万歳!
 
もっともこの戦法とて万能ではない。
例えば、そのレースに飛び抜けて強い馬が二頭いた場合、二頭とも抑えるのは至難の業だ*1
また、自分の馬の脚質が差しや追い込みで、ターゲットが先行していた場合、4コーナーを回った直後にそいつの前に着けるのはかなり難しい。かといって仕掛けが早過ぎればバテて自滅する。
妨害するために無理な位置取りをして折り合いを欠くのも厳禁。そもそもこっちには実力がないのである。ベストな状態で走っても他の連中に負けるかもしれんのに、その上ロスがあっては勝負にならない。
しかも、同じ馬で5回以上進路妨害をすると「ダーティーホース」という非常に不名誉かつ、マイナス効果の大きい称号を与えられてしまう*2。なるだけレース後に進路妨害の判定が出ないよう、小刻みに妨害したり、勝ちが見えてきたあたりで進路を開けたりと、心配りが必要なのである。
ベストな走りでスマートに妨害をする。それがこのゲームの醍醐味なのだ*3
 
 
さて、そんなこんなで勝ち続けているとどんどん良い馬に乗れるようになるわけだが、本作は馬を乗り捨ててそこで終わりではない。
引退した馬は種牡馬繁殖牝馬になれるのである。そしてその親世代を利用して、新たなオリジナルホースを誕生させることができるのだ。それこそシンボリルドルフとミエスクの仔だってつくれてしまう。
というと、複雑かつ奥深い血統システムを想像しがちだが、本作にそんなリアル指向の気の利いたもんはない。
男親と女親が合体してその二頭が消滅すると、代わりに両親の能力や特徴を引き継いだ新たな一頭が誕生するのである。
繁殖というより、どちらかと言えば悪魔合体に近い。
 
この悪魔合体こそが本作の一番のやり込み要素となっている。
いかにして究極の最強馬を創れるか。全てのレースを制覇したプレイヤーに残された課題はこれしかないのである。
強い馬と強い馬を掛け合わせてもっと強い馬をつくり、その世代同士を交配させ、さらなる強化を施す。そしてそれをひたすら繰り返し繰り返し繰り返すのである。本当にヴィクトルの所業に近い気がする。
それもただ交配させればいいというわけではなく、きちんと親世代をレースで勝たせなければならないのだ。
というのも、レーススタイルや戦績によって称号が得られ、これはその馬の引退後にパラメータに還元されるのである。さらにレースの勝ち方などによって評価フリーハンデを貰える。これが高いと配合コストが上がり、結果、より強いオリジナルホースを作れるという仕組みになっている。
 
 
フリーハンデが高いのはもちろんのこと、距離適正が幅広く、底力があり、気性も良く、坂も大得意で、加速は最高、重馬場にも滅法強くて、長くピークの続く馬…そんな究極の悪魔を創るために、プレイヤーは世界中のレースを幾度も幾度も勝たなければならない。
究極悪魔の制作過程に誕生する競争馬たちも当然みんな化け物である。
そのうち一頭でG1を60勝くらいするようになるのでもはやG1に有難味も何もない。東京や阪神のG1などは「坂があるから坂アビリティの稼ぎに良い」というくらいにしか感じなくなる。
3歳(今の競馬で言う2歳)の時点で、世界中の古馬などザコも同然。もはや違う星の生き物だ。
 
ゲーム中に登場する最強馬はフリーハンデ75のシーバードだったと思うが、私は90のガンバスターという馬をつくった。
先行タイプ、距離適正1000〜3600m、底力・気性・坂・加速・重馬場全てのサブパラメータはMAX。仮に騎乗しているのが泥酔状態の落合福嗣くんであっても凱旋門賞をぶっちぎりで勝てる。
ゲームの仕様上、フリーハンデの最高値は92であるらしい。前述したが、このゲームは強い馬をつくる以外にやることがなくなってくるので、92を達成した人も結構いると思う。(時間はめっちゃ掛かるだろうが)
当然、馬のデータは保存できるようになっている。また、そのデータはパスワードとして入出力することも可能で、つくった馬同士でレースをさせることもできる。昔はネット上でパスワードを公開してレースをさせている人もチラホラ見掛けた。
 
…まぁ、膨大な時間を掛けて最強馬をつくって、その先に何があるのかというと…例によって何もないのだが、そんなのは今流行りのモンスターなんとかポータブル3rdも同じである。
 
競馬…いいもんですよ、競馬。この時期、有馬記念も控えていますし。
競馬サークルでもつくれば、JRAの「CLUB KEIBA」のCMのように、蒼井優さんや小池徹平さんみたいなステキな競馬友達ができるかもしれません。
まずはその予備知識として本作『ギャロップレーサー2000』をやってみるのはいかがでしょうか。
年の瀬、中山競馬場マツコ・デラックスさんとパス交換、いいもんですね。
 
おわり

ギャロップレーサー2000  PlayStatoin the Best

ギャロップレーサー2000 PlayStatoin the Best

 
【追記】…音楽
このゲーム、なぜか流れてくるBGMがやたらと格好良い。G1戦では俄然気分が盛り上がるようになっている。
昔、サントラをCD屋に注文するくらい惚れ込んでしまった。

 
おしまい
ギャロップレーサー2000

ギャロップレーサー2000

*1:たまに無理矢理やりました。二頭直列妨害。あるいは並んだ二頭の前にケツを着けて左右に小刻みに移動するケツ振り妨害

*2:逆に言えば4回までなら堂々とやっていい

*3:いや、だってさ、進路妨害して下さいと言わんばかりに馬群レーダーがあるんだもの