アサシン クリード


【ネタ】…ゲーム アサシン クリード(2007) 開発:ユービーアイソフトモントリオール・スタジオ
 
【説明】…ユービーアイソフトモントリオール・スタジオが開発した「潜入アクションゲーム」
第三回十字軍が派遣された12世紀末のエルサレム周辺一帯が舞台となる。人混みに紛れて監視の目をくぐり抜けながら、アサシン教団(十字軍時代に活躍した暗殺者集団)の一員アルタイルとして任務を遂行する。
本作の最大の特徴は、次世代機による美麗なグラフィックとオープンワールド型のマップを縦横無尽に駆け回る高いアクション性である。このアクションはパルクールまたはフリーランニングと呼ばれるエクストリームスポーツが元となっており「壁をよじ登る」「僅かな足場から足場へと飛び移る」「高所からのダイビング」等の特殊なアクションが採用されている。
2006年のE3において「ベストアクションアドベンチャー賞」など数多くの賞を受賞している。

 
【独断】…小2病ゲーム
今では信じられない事だが、プレイステーションセガサターン3DOなんかが「次世代機」と呼ばれていた頃は、3Dキャラクターが歩くだけのゲームなんかが稀に発売されたりした。しかも、そんなもんが結構持て囃されたりしていた。
つまり、リアルタイムポリゴンでつくられた、(データ上)そこに“在る”空間を味わう、という事そのものがその手のゲームの主旨だったのだ。「これまでのドットによるお絵かきなんかとは違う、文字通りの仮想空間がそこにあるのだ!」というテイである。
その手のソフトは、十中八九ゲーマーからは不評だったが、「時代の先端」的なノリをゲームに導入するってのが真新しく感じられたのか、メディアではわりと過大に評価をされたりしていた。
 
そういう詐欺ゲーはともかくとして、実際、当時(90年代半ば)は3Dの画面そのものが「スゲー」という時代だったのだ。
個人的には『モータートゥーン・グランプリ』(1994)なんかが、やってて「スゲー」と思わされた。
伸び縮みするカートゥーン調のレースマシンが、ポリゴンで構成されたぐねんぐねんのファンシーなコースを駆け抜ける。コース外を見てみると山がある。まさかと思ってアクセル全開で傾斜の緩めなところを攻めてみると、なんとマシンが山頂まで登れてしまうのである。
「ああ、本当にここに空間があるんだ」と思って感動したものだ。(ゲーム的にはかなり難もあったが)
  
 
3Dフィールドに放り込まれて闘い抜く『キングスフィールド』(1994)、マップ上を本当に好き勝手飛べる『エースコンバット』(1995)、幻想的な空間で縦横無尽のシューティング『パンツァードラグーン』(1995)、ギミックだらけの館を彷徨く『バイオハザード』(1996)、自分で組み上げた巨大ロボットを自由自在に扱える『アーマード・コア』(1997)…。
どれも今見るとガッタガタの映像だが、なるほど、3Dに対するロマンが確かにそこにはある。ゲーマーたちの夢が、さり気なく、それでいてもの凄いスピードで叶っていった時代でもあった。
 
…それなのに、それなのに、昨今のゲーマーたちの体たらくは一体なんだ!
FF13』でキャラクターのパンモロを見るためにカメラアングルをなんとかかんとかしているそこのオマエ、そうオマエだ!
『デメント』を改造してフィオナの胸のサイズを変えているそこのオマエもだ!
ランブルローズXX』のエディットモードでロリマッチョなんてマニアなキャラをつくっているオマエも!
貴方達は、ゲーマーとしてそれでいいのかと。僕らが求めた3Dはもっと…もっとこう…。
 
…まぁいいや。
イイ時代になったものですね。
  
 
というわけで、美麗な3Dマップを跳び回ってひたすら人を殺していくゲーム、『アサシンクリード』の紹介です。
 
舞台は西暦1191年の大シリア。
十字軍とイスラム勢力が聖地エルサレムを巡って熾烈な争いを繰り広げ、聖地には混乱が起こり、市民の間に恐怖と不安が広まっていた。この争いを収束すべく、アサシン教団は両軍幹部の暗殺を決行。教団のメンバー・アルタイル(主人公)を刺客として送り込む。…というあらすじ。
 
 
【説明】の項にあるように、本作はエクストリームスポーツパルクール)の動きをアクションとして取り入れている。
ダッシュ、段差を駆け上る、建物をよじ登る、屋根から屋根へ跳び移る、小さい足場を跳び回る、高所からダイブする…。アルタイルの動きは、「殺し」の要素を除けば、一流のパルクール競技者のそれと同じである。
パルクールのアクションをクローズアップした『YAMAKASI』という映画が2002年に流行ったが、あの映画を御覧になった方はその動きがどういうものかイメージしやすいかも知れない。
和風に、一番分かりやすく言えば、「忍者」だろうか。
中世のダマスカスやエルサレム、アッカなんかの街並みを縦横無尽に跳び回るわけだ。移動しているだけでもかなり爽快である。

 
本作は一応「潜入アクションゲーム」と銘打ってある。
「潜入アクション」と言えば、『メタルギアソリッド』シリーズや、『天誅』シリーズなんかを思い浮かべる人が多いかと思う。
敵に見つからないように潜み、紛れ込み、任務を遂行していく。
もし敵に見つかってしまった場合は、取り囲まれて大ダメージ覚悟の戦闘をするか、必死こいて逃げ隠れするか、どちらかを選択しなくてはならない。何にせよ大きなペナルティが課せられる。…というのが真っ当なステルスゲームのあり方だ。
しかしながら、『アサシンクリード』のフィールドは、行動範囲が限定された施設内などではない。人でごった返した巨大な都市である。いつでもどこにでもカンタンに隠れられるし、そもそも超人的な身体能力を誇るアルタイルさんが全力で逃げた場合、付いてこられる敵などいようはずもない。
つまり、このゲーム、別にいくら敵に見つかってもどうとでもなるのである。
 
もちろん戦わなくてはならない場面もあるのだが、アルタイルさんは戦闘能力も抜群に高く、並の敵ならばボタンをリズム良く押すだけのコンボだけでもあっさり倒せてしまう。
しかも、ゲーム序盤で「カウンター」というスカイラブハリケーン並の反則技を覚える。
この技、敵が剣を振りかぶった瞬間にタイミング良くボタンを押すと、かなり残酷なアクションで相手を一撃死(もしくはダウン)させるのだが、そのタイミング判定がかなり甘く、多少反応が遅れても、それこそテキトーに連打をしていても発動してくれる。おまけに、360度、横だろうが真後ろだろうが、どの方向に居る相手にも適応されるのだ。これで囲まれても大安心。
万夫不当のアサシン無双である。

 
一番スマートな攻略としては、大立ち回りなどせず、屋根を跳び交い、人に紛れ、最少人数をアサシンブレードのみで倒していくという、忍プレイだろう。

【アサシンブレード】
…左腕の袖に隠してある刺突用の小刀。上手くやれば周囲の人間にも分からないほど最小の動きでターゲットを仕留められる

…が、わざわざ大立ち回りをさせるような場面がやたらと多いので、どうしたものか。
 
「兵士に絡まれている市民を助ける」というサブミッションが、ゲーム中合計して30回くらいあるのだが、その都度絡んでいる兵士たちを皆殺しにしなければならないのだ。そうしないとミッションクリアにならず、同じ場所でずっといざこざを繰り返すのである。
しかも、兵士を皆殺しにして、助けた市民がモブに戻ると、その市民が転がった兵士たちの死体を見て、「誰がこんな事を…」「ひどい…」とか言い出す始末。あんた2秒前までこっちに礼言ってたやんけ。イカしたCPUである。
ひどい時は、救出イベント→絡んでいた連中と戦闘→通りすがりの兵士たちも来る→戦線拡大→それを見た他の兵士も寄ってくる→さらに戦線拡大…となり、最終的に数十の死体が転がる中、一人の市民にお礼を言われることもある。
 
また、テンプル騎士団のメンバーだけは、こちらがアサシンである事をなぜか一発で見抜いてくる。
アルタイルさんを発見すると、雄叫びを上げて問答無用に襲いかかってくるテンプルナイト。こんなのが街中のあちこちに配置されているので、こいつらもさすがに殺さざるを得ない。
結果、全然忍んでいない。『NINJA GAIDEN』のリュウ・ハヤブサ並に忍ばない。
 
大物ターゲットを仕留めるときは、ボス戦というわけではないのだが、一応、暗殺しにくいシチュエーションにはなる。
敵兵がわんさか配置されていたり、ターゲット自体がそれなりに強かったりするわけだ。
…が、上記の通り、アルタイルさんは無敵である。真っ向から敵勢力を皆殺しにするのも非常に容易い。
白昼堂々チャンバラをして、死体の山を築いて、それを「暗殺」と言い張るアルタイルさん…。
 
今更ぶっちゃけるも何もないのだが、要するにこのゲーム、“ゲーム”としては最悪のデキなのである。
いくらでもごり押しできるし、ミッションも似たようなモノの繰り返しで非常に単調。殺し以外に別にやることもない。街には沢山人が居るが、基本的に殺すか殴るか突き飛ばすくらいしかコンタクトの取りようもない。ストーリーも伏線オンリーで謎が謎を呼ぶだけ。
やる人によっては、「クソゲー」と言われても仕方がない作品だろう。
 
 
…だかしかし、美麗に造られた3Dマップを縦横無尽に跳び回り、鮮やかに殺陣を行える…個人的にはこれだけで「買い」のゲームと言える。
そびえ立つモスクに(意味なく)よじ登り、高空から街を見下ろす快感。
屋根から屋根に跳び移り、アメコミヒーローの如く街を駆け抜けていく快感。
人混みに紛れ、「ジャキン…」という金属音のみを残し、誰にも気付かれず敵を仕留めていく快感。
 
小2くらいのとき、高いところに登れるとか、高いところから飛び降りられるとか、塀を乗り越えられるとか、足場の悪いところを速く移動できるとか、障害物をスムーズにかわせるとか、人の死角を取るとか、そういうことが出来ると仲間内から尊敬される…ということはなかっただろうか。
所謂「忍者ごっこ」的なアレだ。男だったら誰しも経験があるだろう。
それをまんまリアルに、あり得ないクオリティでやってくれているのが、本作『アサシンクリード』なのである。
ゲーム性はともかくとして、その“やりたい事”がヒシヒシと伝わってくる感じがどうにも嫌いになれない。
男子ってのは、鉄柵の上を綱渡りして足を踏み外し、金玉を打ち付けて育っていくものである。本作はあの頃の記憶を蘇らせてくれるゲームなのだ。
本当に、3Dを正しく使っている作品だと思う。

 
ある意味、生粋のゲーマーにはオススメできない作品だが、「小2の頃の気分に戻ってみたい!」という方は是非ともやってみて欲しい。
ちなみに人前で壁によじ登ったりしていると、モブキャラが「いい大人が何をやっているんだ…」とか言ってくる。確かにリアルでやれば変質者だ。しかし、ゲームなのでお好きなように登って頂いて構わない。
そう、つまりそういうゲームなのである。
 
おわり

 
【追記】…実績解除のコーナー
1000G到達難易度…☆☆☆☆★
戦闘などの実績は場所を選べばわりと簡単に解除できる。
…が! このゲームのムチャクチャ大変なところは旗集めにある。街や道のあちこちに落ちている数百本の旗を一本残らず拾い集めなければならないのだ。しかもノーヒントで。
一応攻略サイトなどでは旗の位置が記載されていたりするが、何しろ数が多すぎる。ちゃんとチェックしていかないと、どれを取ったのか全くわからなくなる。
逆に言えば根気次第で1000G到達も可能なので、アクションが苦手な人でも達成できる。
 
【追々記】…カナヅチ 
無敵のアルタイルさんだが、一つだけ大きな弱点がある。
水だ。
これほど凄まじい身体能力を誇りながらも、アルタイルさんはなぜか全く泳げない。とにかく水に入ると死ぬ。
桟橋に手を伸ばせば助かりそうな浅瀬でも溺れ死ぬ。湖、池、水のあるところは全部ダメ。何かしらの悪魔の実を食べたとしか思えないほどにカナヅチだ。
某呪泉郷であれば暗殺泉なんて泉が作れるほどに、水に触れた途端に溺れる。なかなかお茶目である。
 
【追々々記】…アサシン クリード II
ところが『2』では泳げるようになっている。これでもはや恐れるモノは何もない。(ちなみに主人公はアルタイルさんではない)
作業ゲーだった『1』とは違い、できることもかなり増えているらしいので、本格的に名作になったっぽい。
これは買いですよ、奥さん。
 
おしまい
アサシン クリードII【CEROレーティング「Z」】 - PS3

アサシン クリードII【CEROレーティング「Z」】 - PS3