NINETY-NINE NIGHTS(ナインティ ナイン ナイツ、N3)


【ネタ】…ゲーム NINETY-NINE NIGHTS(2006) 開発:Q ENTERTAINMENT、ファンタグラム 発売:マイクロソフト
 
【説明】…Xbox 360対応のファンタジーアクションゲーム
光と闇、それぞれの種族が「オーブ」の加護によって平穏に暮らしていた世界。ある日、何者かの陰謀により、そのオーブが砕かれてしまう。光と闇に分かれた軍勢、そして光と闇のオーブ、それが再び1つになる時、99の闇が訪れ、100日目に朝が訪れる。
オーブを巡った壮絶な戦争。この物語は、名も無き戦争の中の英雄たちの物語である。
Xbox360の処理能力を駆使した美麗なグラフィックによる大軍勢バトルが特色で、発売当時に流されたテレビCMでも「ハイデフ」の象徴として取り扱われた。
プロデューサーは『スペースチャンネル5』などを手掛けた水口哲也

 
【独断】…『Ninety-Nine Nights II』2010年07月発売予定記念エントリー
「実績100獲得すると知能指数が1落ちる」…でお馴染みの本作『NINETY-NINE NIGHTS(ナインティ ナイン ナイツ)』(以下:N3)。
やっていると良い意味でプレイヤーの頭を悪くしてくれるテレビゲームらしいテレビゲームである。
 
舞台はまさに剣と魔法の世界。人間とゴブリンの争いを中心に、オーク、トロール、エルフ…様々な種族が戦いを繰り広げる。
本当にドストレートなオタク系ファンタジーの世界観だ。オーラを纏った剣や槍が鮮やかな軌跡をつくり、レーザーのような魔法が派手に飛び交う。キャラクターのデザインもゴテゴテしていて、どことなくPCエンジンチックで懐かしい。
雰囲気としては、『指輪物語』を二回りオタクっぽくして物語性をなくしたような感じだろうか…
指輪物語』から「物語」を引いたらただの「指輪」だけど…なんせハイデフ! そりゃもうゴージャスな指輪である。

 
プレイヤーは操作キャラクターを選択し、大軍勢の敵と白兵戦を繰り広げる。
雑な説明をすると、所謂『真・三國無双』シリーズのような感じだ。味方の軍勢も沢山居るが、基本的にプレイヤーキャラ一人で数百数千の敵をなぎ払っていくことを醍醐味としている。
選べるキャラクターは7人(ゲーム進行によって使えるキャラが増える)。種族も複数、戦闘スタイルもそれぞれ大きく異なる。
選んだキャラクターによって、ゴブリンが敵になることもあれば、人間が敵になることもある。物語もそれに応じてパラレルに進行していく。
 
本作はファンタジー面で開き直っていることもあり、ただでさえアホっぽい無双系ゲームが輪を掛けてアホになっている。
敵陣の中でてきとーに剣を振り回しているだけでも一気に数十の敵を倒せるし、超必殺技に相当する「オーブスパーク」を放つと最大1000近くの敵が一発で吹き飛ばされる。
小学生男子の妄想を具現化したような感じで実にステキだと思う。ある種、一つの夢のゲームだろう。
ズアッ! ドギャギャギャギャ! グオォッ! ドォーン! グアァァァアアア! ボカァァァァン!
…という世界各国の男児が行っているであろうバトルごっこを、美麗なグラフィックでゲームにしてみたらこんな感じなのではないだろうか。
数百という敵が同時に襲ってくるが、その一人一人がしっかりと描き込まれており、なおかつほとんど処理落ちもしない。第7世代以降のハードの可能性を見せつけてくれる。

 
アクションはやや大味ながら、コンボの繋ぎが自然でコマンド入力も簡単なので、かなり快適に操作できる。
キャラクターのレベルが上がると、コンボの種類が増え、より派手で強力な技が繰り出せるようになる。装備がパワーアップすれば、攻撃力、攻撃範囲も飛躍的に増大するので、最終的にどのキャラクターも本当に天下無双の状態になる。
 
そんなわけで、ハッキリ言って本作の難易度はかなり低い。
桁違いの無双を標榜しているので、レベルが上がってしまうと基本的に敵なしの状態になる。ボスキャラも隠し最終ボス以外はそれほど強くない。落ち着いてプレイしていれば、倒されてゲームオーバーということ自体があまりない。
 
…ではどこにやり応えを求めるのかというと、敵の倒しっぷりにである。
コンボ数を稼ぎつつ、いかにオーブスパークで多くの敵を倒すか。これがゲームスコアに大きく関わるのだ。
オーブスパークはキャラクター固有の超必殺技で、そのどれもが強大な威力を誇る。カメラに映る全てが大規模破壊に見舞われ、その場にいるザコ敵は一掃される。このゲーム一番の見せどころである。
千を超えるホーミングレーザーが敵を突き抜けていくもの、巨大な隕石群がフィールドに降り注ぐもの、大津波が敵を飲み込んでいくもの、大地が噴き上がりフィールド全域を大破壊するもの…全てがド迫力だ。
このオーブスパークで大量の敵を倒していると、ステージクリア後のランク評価が良くなる。
 
① 通常攻撃で敵を倒す
② 赤オーブが蓄積される
③ 赤オーブゲージがMAX
④ 「オーブアタック」という時間制限付きパワーアップ状態になれる
⑤ オーブアタックで敵を倒す
⑥ 青オーブが蓄積される
⑦ 青オーブゲージがMAX
⑧ 「オーブスパーク」が使える
⑨ オーブスパークで大量の敵を倒す
⑩ 高ランク獲得!
 
大体こんな流れ。
つまり、プレイヤーは、ステージ構成をしっかりと把握して、赤・青のオーブを過不足なく効率よく溜めて、敵の大軍がいるところでオーブスパークを使うと…「よくできました!」となるわけだ。
…まぁ、「それぞれの正義」とか「真の平和とは」とか、そういう考えさせられるテーマもなくはないのだが、基本、大量殺戮をすると高ランクが獲れるゲームシステムになっている。(そこら辺、ヘンに倫理を持ち込んでゲームシステムを複雑にされてもストレス要因にしかならんしね)


 
群がる幾千の敵を、一撃の下に蹴散らしていく快感…
無双系のゲームの中でも飛び抜けてスケールが大きく派手な戦いを見せてくれる本作『N3』。
「嗚呼、こういう開き直ったバカゲーっていいよな」と思わせてくれる逸品である。
 
惜しむらくは、いくつかのシステムの不具合(キャラ別にセーブをしなければならない。ムービー挿入で戦闘が強制中断される。等)と、ストーリーの薄さだろうか。
「戦争」という、ありがちながらも難しい題材を取り扱っているわりには、そこに描かれる悲劇や葛藤がかなりインスタントくさい。
ゲーム本編が敵を蹴散らすだけなので、ストーリーを彫り深くするのも難しいのだろうとは思う。ただ、それならそれでキャラクターの会話イベントを増やしてみたり、逆に、思わせぶりな描き方をしてプレイヤーの脳内補完に任せてみたり、もっと色々な魅せ方があったのではないだろうか。
全般的に、主要キャラが悪い意味で直情的すぎるので、プレイヤーが感情移入するのが難しいのである。
特にメインヒロインのインフィは、その独善ぶりにプレイヤーたちからかなりの非難を浴びた。何しろ、最初から最後までずっとぶちギレしているのだ。「ゴブリン! 皆殺し! ウガウガ!」という感じ。『ぶちギレ金剛!!』の金剛よりもぶちギレている。
結果、一番短くて、一番純粋に“個”を描いた、ビグバグというトロールのお話が、このゲームで一番良くできている。

 
そんなわけで、総合的に見ると色々と惜しい『N3』だが、ゲームコンセプトさえ理解していれば買って損はない。
とにかく鮮やかに大暴れすればいいわけだ。
あと2か月後に発売を控えた続編『N3Ⅱ』のキャッチコピーは「5人 対 100万軍勢」! …よりバカになっている。大暴れのエスカレートっぷりが期待できる。
『N3Ⅱ』の予習・復習のためにも、インフィのぶちギレっぷりを見るためにも、是非一度本作『N3』をやってみていただきたい。
 
おわり

NINETY-NINE NIGHTS(N3) Xbox 360 プラチナコレクション

NINETY-NINE NIGHTS(N3) Xbox 360 プラチナコレクション

 
【追記】…実績解除のコーナー
1000G到達難易度…★★☆☆☆
基本的に簡単。攻撃ボタンは二種類だけだし、それほど複雑なコマンド操作もない。キャラの動きを見ながらボタンを押していれば自然とコンボが繋がるようになっている。レベルが上がると倒されることがないので、ハイスコア狙いにも集中しやすい。
「全キャラレベルMAX」と、「全ステージAランク以上のクリア」をすれば実質コンプリート。
レベル上限は9までしかないので膨大と言うほどの時間は掛からないし、ランク条件も最高の「S」ではなく「A」でいいので結構易しい。
ステージ構成とコンボ数が稼げる攻撃を把握していれば、大体高評価は獲れる。
ただ、注意したいのは、キャラクター別にセーブデータを作成しなければならないこと。違うキャラでセーブデータを上書きすると、上書きされたキャラの進行状況がなくなってしまうという恐ろしい仕様になっているのだ。
また、「全キャラレベルMAX」は、なぜかレベルが最高になった状態で全ステージをもう一度クリアしなければ解除にならないので、微妙に面倒くさい。
こういったシステム面の行き届いていない部分も含めて、難易度★二つにしました。
 
おしまい