BULLET WITCH(バレットウィッチ)


【ネタ】…ゲーム Xbox360 BULLET WITCH(2006) 開発:キャビア 発売:AQインタラクティブ
 
【説明】…主人公アリシアを操って、箒に擬した銃と魔法で悪魔たちと戦うサードパーソン・シューティングゲーム
若い女性を主人公に据え、魔法の効果を派手に演出するなど、ビジュアル面に特徴がある。また自動車や瓦礫、建造物の一部などステージ上の物体を銃撃や魔法で移動・破壊することが可能であり、その挙動は物理エンジンによってシミュレートされる。このことは、映像のリアリティや派手さに寄与するだけでなく、物体を壊したりぶつけたりできることで攻略方法にバリエーションを与えている。
反面、照準のつけにくさや敵の正確な射撃、スナイパーの狙撃や死角からの物体移動による一撃死等は当初難易度を高く感じさせる。ただし、主人公の能力や魔法、武器を成長させる強化システムが採用されており、強化によって難易度を緩和できる。
 
 
【独断】…おねがいマイレイヴン
「あなたは、今まで食べたパンの枚数を憶えていますか?」
憶えているはずもない。
「あなたは、今まで殺したゾンビの数を憶えていますか?」
これもまた、憶えているはずもない。
 
まぁ、もう、昨今のゲームはとにかくゾンビを殺させたがる。
生身の人間を惨殺する描写があるとCERO規定にも大きく関わってくるし、実際、エグいと言えばエグい。タレントの伊集院光さんも「ゾンビなら全然平気で撃ち殺せるけど、人間を殺すゲームは(感覚的に)ダメなんだよねー…」とおっしゃっていた。
形は人間だし、動きもするけど、設定上は生き物ですらないゾンビさん。ゲームにおける殺し対象として、こんなにも都合の良い方々はそうはいらっしゃらない。ゲーマーは彼らの存在に感謝すべきだ。ナイス…ナイス・ドローン。ナイス・ドローンだ!

 
というわけで、イケイケ(死語)美女がゾンビたちを殺しまくるゲーム、パレットウィッチ!
本作は所謂TPSで、プレイヤーは主人公アリシアを動かしながら、銃の照準操作を行い、射撃によって敵を倒していく。
黒衣のレースに身を包んだ美人が、箒に見立てた銃を振りかざし、魔物の群れを撃ち殺しなぎ払う。…コッテコテの設定ながら、アクション(物理演算)も世界観もキチンと作り込まれた逸品である。
 
敵となるのはゾンビ兵を中心とした恐ろしい魔物の軍勢。…なのだが、このゲーム、ゾンビ兵の皆さんがコミカルで活き活きとしていてかなり面白い。
「うおおぉぉぉぉ!!!!」とか叫びながら突っ込んでくるやつもいれば、小隊長っぽいやつが甲高い声で指示を出していたりするし、スナイパーはこちらが近づくと手を挙げて降参する。倒されると「良かったぜ…」とかカッコイイ台詞を遺すやつもいるし、こちらを倒して「噂通り、大したことなかったな」とかムカつくことを呟くやつもいる。
なんというか、『北斗の拳』のモヒカンチックに、デフォルメされた「いかにもな悪役!」という感じで、妙に愛嬌があるのである。
全体的なノリとしても、一応シリアスながら、良い感じにドラマがてきとーで、あまりホラーに寄っていかない。
美人! ゾンビ! 銃! 大魔法! と、アクションやビジュアル面の面白さが分かり易く豪快に押し出されている。

 
このノリの良さはステージ構成にもよく表れている。
TPSは武器選択やアクションの種類が多いため、ソフトごとに操作に慣れるまでが大変だったりする。だから、初めは敵のいないところで操作確認ができるのが普通なのだが、本作は、1ステージ目の初っぱなから複数の敵が眼前にいるという、かなり問答無用なシチュエーションでスタートするのである。
「え? え? 射撃ボタンどれ? 照準はどっちのレバーでやれば…」なんてやってると、いきなりゾンビ兵に撃ち殺される。
決して超難度というわけではないのだが、全編に渡ってこういった「死んで覚えろ」的な仕様だったりするのが、なかなか粋で痛快だ。
 
しかも、アリシアは魔物の群れを堂々とスタンディングで射撃していくわりに、自分自身も撃たれるとすぐに死んでしまう。最高難易度「HELL」に至っては、雑魚ゾンビとのタイマンの撃ち合いでもこちらが避けに回らないと負ける。
というわけで、基本、囲まれたら終わりなのだが、アリシアは魔女だ。対ザコ戦における必殺の万能魔法がある。
…その名も「レイヴン・パニック」。
野外限定で使えるこの魔法、どういったものかというと、使うと敵にカラスがたかるのである。
ギャーギャー言いながらカラスの群れがやって来て、複数の敵がカラスにたかられて身動きできなくなるのだ。で、その間に敵を銃で撃つ。
…せこい。
あまりにせこい戦法だが、一方的にこちらが攻撃できるし、魔力の消費も少ないもんだから、これがむちゃくちゃ効果的。高難度モードの際はまともに撃ち合うとこっちも死ぬから、常にお世話になってしまう。
とにかく、カラスさんたちに頑張ってもらえれば勝てる。
 
しかしあまりにレイヴン・パニックに依存していると、立ち回りが凄く情けないことになる。
時間切れでカラスが引き払ったあと、次のレイヴン・パニックを使用するまでには数秒のリロード時間を要するのだ。
この間、当然敵は動き出すわけで、変にこちらが突出しているといきなり銃弾の嵐が襲ってくることになる。
「あわあわあわ…あわあわあわ…」と言いながら必死で逃げるアリシア。魔法コマンドを開いてもレイヴン・パニックはまだ使えない。慌てて緊急回避ボタンを連打するも集中砲火を受けてご臨終。
アクションゲームをやっていてこんなに情けない気分になるのは、『超魔界村』でパンツ一丁になりながら必死でレッドアリーマーから逃げていたとき以来だ。

  
もちろん、全然せこくない本当の必殺技…大魔法もある。
雷を落としてターゲットとその付近を爆発させる「サンダー」。竜巻を起こし建物や木々ごと敵を飲み込み吹き飛ばす「トルネード」。敵どころかフィールド全てを破壊し尽くす隕石召喚「メテオ」。魔力を大量に消費するが、どれも一撃で戦局を変える超威力の魔法である。
ステージが進むごとに使用できる大魔法は増えていく。最強魔法「メテオ」は最終ステージ中盤から使えるようになる。
とにかく、このメテオが半端ではない破壊力で、使用して隕石群が降っている間は、アリシア本人も巻き込まれないように避難しなくてはならない。
メテオが使用できる最終ステージは高層ビルが建ち並ぶ大都市なのだが、この背景の高層ビルがメテオによる隕石でガンガン倒壊していくのである。周囲の敵は巻き込まれればもちろん死ぬ。しかし、こちらもビルの瓦礫などにぶつかると死んでしまう。
「あわあわあわ…あわあわあわ…」と言いながら必死で逃げるアリシア。ゾンビの皆さんもあまりの大破壊に尻餅をついてビビっている(メテオ使用中は本当にそうなる)。慌てて緊急回避ボタンを連打するも瓦礫がかすめてご臨終。
セルフでお祭り騒ぎをしている感じで、何かえらく楽しい気分になってくる。
  
 
本作はこういった破壊描写が見事で、小さな物から大きな物まで何でもぶっ壊せる。
さらには念力で車などを吹っ飛ばしてみたり、直径10メートルくらいの貯水タンクを銃で撃ってボール代わりにしたり、かなりのやりたい放題ぶり。
敵の造形やアクションも愛嬌があって、良い塩梅の悪趣味が作品全体に漂っている。
本当に“遊ぶ”ことに力を注いだ正しいゲームという感じだ。
…これも遊び心旺盛というのか…バレットウィッチ公式サイトのスクリーンショットのコーナーを見ていると、まぁ悪ふざけしています。ゾンビの面白い殺し方とかが載せてあって、真面目な人が見たら「酷すぎる」と言って怒ってしまいそうな勢い。

 
リアル指向のドライなFPSばかりやっているそこの貴方、たまにはこういうおバカさんなゲームもいかがでしょうか?
クレイモアと男のケツに飽きたら、是非アリシアちゃんを操作してみて下さい。
 
おわり

 
【追記】…実績解除のコーナー
1000G到達難易度…★★☆☆☆
基本的にゲーム内に用意された各難易度をクリアするだけでフルコンプ可能なので、比較的カンタンで良心的。
クリア時のスコアは実績には関わらないので、アクションが苦手な人も根気と戦法次第で1000G到達できる。
 
おしまい