BLUE DRAGON(ブルードラゴン)


【ネタ】…ゲーム BLUE DRAGON(2006) 開発:ミストウォーカーアートゥーン 発売:マイクロソフト
 
【説明】…「影」と呼ばれる魔法を操り、世界を破滅に導こうとするネネやその軍勢と戦うコンピュータRPG
魔法と機械によって栄えた古代文明が滅んでから幾星霜、古代文明が何故滅んだのかも忘れ去られた時代。
世界各地では、10年ほど前から、紫の雲が近づいてくると様々な災厄が起きるようになっていた。
タタの村に住むシュウ、ジーロ、クルックは、紫の雲とともに現れる地鮫(じざめ)を退治しようと試みるが、地鮫に引きずられる形で、遥か高空に浮かぶ機械の巨大要塞に連れて行かれてしまう。
そこで謎の声の指示に従い光の玉を飲み込むと、3人は自分の影が怪物の姿になり、突如魔法を使えるようになってしまう。
魔法の力を手に入れた3人は、世界各地で起きている災厄と戦っていく。 
Xbox 360の発売前から制作が発表され、豪華なスタッフ陣で話題となる。特に、坂口博信鳥山明の共作は『クロノ・トリガー』以来であり、Xbox 360ユーザーの期待と注目度は大変高いものであった。

 
【独断】…おねがいバリバリア
箱○ユーザーなんてエロとグロにしか興味のないHENTAIばっかじゃねーか」
そう思っているそこのあなた…決してそんなことはありません!
そう、箱○ユーザーが「そんなことはありません!」と言うために誕生したソフト、それが本作『ブルードラゴン』である。
 
光り輝く「CERO:A」(全年齢対象)の文字。どなたにもプレイしていただける健全なるソフトだ。
ミドルティーンの熱血主人公が、機械や異種族とともに悪に立ち向かう、ド王道のRPG。プロデューサーは坂口博信。キャラクターデザインに鳥山明。「どうだ!」と言わんばかりの布陣で作られたXbox360の虎の子ソフトである。
 
 
発売当時、本当にエロとグロのゲームしかやっていないかった私は、荒んだ心を癒すべく、ブルードラゴンに即行で飛びついた。
テレビCMもいかにも明るく健全といった雰囲気で好印象。マイクロソフトがコアなゲーマー層だけではなく、一般層も本気で獲りに来ている事が明確に表れていた。同時に、アクションゲーム中毒になりかけていたXbox360ユーザーにとっても、箸休めとして非常に良い塩梅。
当時の箱○ユーザーというのは、カメラアングルを試行錯誤して3D女性キャラクターのパンツを覗き見たり、FPSで面白い殺し方・死に方を研究したりと、それくらいしかすることがなかったのだ(暴論)。
 
…で、そこに来てのブルードラゴン。これが期待を裏切らないイイ出来だったのである。
露骨に子供向けな作品なので、坂口・鳥山と聞いて漠然と『クロノトリガー』(1995)的なものを期待した人からすると、ヴィジュアル面やドラマ性、またボリューム的にも満足できなかったかも知れない。だが、明るく、分かり易いRPGとして、非常に良質であることには間違いなかった。
シンプルで分かり易いコマンド、隊列・範囲攻撃によるパズルチックな戦闘、シンボルエンカウントによるストレスのなさ、勧善懲悪で間違いのないストーリー、世界各地を旅する爽快感。
そうそう、これ! こういうの! という感じ。
孤独のグルメ』の井之頭五郎なら「こういうの好きだな シンプルで ドラゴンの味って男のコだよな」とでも言いそうな感じだ。
 
 
舞台のベースとしては、コンピューターはないが剣と大砲はある近代っぽい世界。そこに様々な人種・亜人種が共同で社会を形成している。そして、世界各地には古代人の遺跡や機械がメカメカしく点在している。
剣あり、デミヒューマンあり、未来的なメカあり…昨今のアニメやゲームではよくあると言えばよくあるごった煮設定だが、これをやってクサくならないのは鳥山明先生の力だろう。元々、なんの説明もなくマンガに異星人を登場させるような御方だし。
主人公のシュウ一行は、この世界を駆け回り、各地で起きている様々な災厄を解決していく。
 
シュウたちは、自分の心の力を使って「影」と呼ばれる魔法を使う。凄く雑な説明をすると、「スタンド」とか「ペルソナ」的なアレだ。自分の影が怪物の姿になり、様々な力を使えるようになる。
影はベースのレベルアップと、それぞれに特徴を持ったカテゴリのレベルアップによって成長していく。
たとえば「ソード」と呼ばれるカテゴリを装着していれば、物理攻撃力を中心に成長し、それに適したスキルを覚えていく。「ブラック」なら、魔法攻撃力を中心に成長し、攻撃魔法のスキルを覚える。
ベースのレベルもカテゴリのレベルも、敵を倒せば倒すほど成長するというわけだ。わかりやすい。コツコツ型RPGのお手本のようなシステムである。
 
 
しかし、こんな良心的なソフトにも、一つ、やってはいけない秘術がある。
…その名も「バリバリア」。
このふざけた名前の魔法、「バリア」のカテゴリレベルをある程度上げると覚えるのだが、意図的に“悪用”するととんでもない威力を発揮するのである。
バリバリアは、戦闘中ではなくフィールドを彷徨いている際に使用できる魔法だ。自分の体に球状のバリアを張り、自分より一回り弱いザコ敵のシンボルがこのバリアに触れた場合、魔力は消費されるが相手をそのまま弾き殺してくれるのである(「DEAD」って表示されているから死んでるんだろう)。
この魔法によって敵を倒してもベースレベル用の経験値は得られないが、カテゴリ用の経験値は得られる。
つまり、バリアを張って敵陣に突っ込めばガンガンカテゴリをレベルアップさせることができるのである。
 
初めは魔力の消耗がむちゃくちゃでかいバリバリアだが、そこそこ成長してくると消耗が少ない「バリバリア2」が使えるようになる。
ここからが荒稼ぎ可能で、敵が無限に湧くスポットにバリアを張って待機していれば、半自動的にレベルが上がっていく。一人目の魔力が尽きたら次のキャラ、もう一人の魔力が尽きたら次のキャラ…。
さらには「バリバリア3」なんてものもあり、バリア3の魔力の消耗は敵一体当たりなんとたったの1。バリア3を覚えるあたりではすでに数百の魔力がある。つまりボーっと突っ立って放置しているだけで、数百体の敵が倒せるわけだ。
 
 
プレイヤー側はスイートスポットでバリアを張ったら、他に何もすることはない。無言でレベルアップしているので、たまに「新しいスキルを覚えましたよー!」という画面が出てくる。その際に決定ボタンを押すくらいである。
あまりにもやることがないので、シンボルキャラクターを美人女剣士のゾラ様に替えて、そのお姿を舐め回すように見ているしかない。
カメラアングルを工夫してゾラ様の胸元を上から見てみる。…おぉ…。
今度は下から脚を拝見。…おぉぉ…。
ちょっとだけゾラ様を動かしてみると、なんと胸が揺れる。スッ…プルッ…おおぉ。今度はアップで…プルッ…おおおおぉぉ…。
その間にもゾラ様の周りは「DEAD」の嵐。周囲では「針モグラ」というなんの罪もない野生動物がガンガンガンガンバリアに身投げしている。
上から降ってくる針モグラがそのままバリアに直撃して天に返り、下から湧いてくる針モグラが弾き飛ばされてそのまま土葬される。
これ「やっつけた」とかじゃなくて「DEAD」なんだよな…。う〜ん、容赦がない。でもちょっと死に様が面白い。

箱○ユーザーというのは、カメラアングルを試行錯誤して3D女性キャラクターのパンツを覗き見たり、FPSで面白い殺し方・死に方を研究したり

…気が付くと原点に帰ってしまった。いかん。いかんぞ、これは。こんなんじゃ「CERO:A」に申し訳が立たない。

 
真面目な話、このバリバリアの仕様は開発者が難易度調整用にわざと組み込んだものなのだが、バリア稼ぎをしなくても戦闘バランスは甘めに作ってある。
有用なスキルを初めから把握してしまっていると、どうしても難度は激減するが、それでも不思議とやり応えはある。敵側のコンビネーション攻撃がハマるといつの間にか詰んでいたりするので油断は出来ない。
 
総じてやっぱりお子様向けのソフトではあるのだが、ゲームをプレイしていて「いいなぁ」「ああ…やっぱいいなぁ」と素直に思ってしまった。
ゴリゴリゴリゴリと攻略に躍起になるようなゲームばかりやっていると、本当に心が荒んでくる。ブルードラゴンは、単に難易度的に易しいというのではなく、心に優しいゲームだという感じがした。
だって、最初に出てくるザコ敵が「ウンチスネーク」だぞ。『Dr.スランプ』の巻きグソだよ。「ああ…おふざけになられている」と思わされるわな。
ストーリーも粗い部分はあるのだが、シュウ一行の善意がわりとストレートに報われていくので、凄く心地良い。「結局何が正義かなんて誰にも解らない」というテイストのRPGが多い昨今、これはなかなか新鮮な感じがした。
様々な種族が当たり前のように共存している世界。機械と人との交流。盛り上げどころで盛り上げてくれる展開。妙に綺麗な背景。丸っこいデザインのロボットたち。一万年も仲良しな壁画の家族。なんか、全編に渡って「ステキだなぁ」という感想に終始してしまうのである。
 
 
エロとグロばかりのそこの貴方(俺)、本作をやってみると、忘れていた何かが思い出せるかもしれません。
…健全なところからエロを発掘する悦び? いや、それじゃなくてですね…。
 
おわり

ブルードラゴン Xbox 360 プラチナコレクション

ブルードラゴン Xbox 360 プラチナコレクション

 
【追記】…実績解除のコーナー
1000G到達難易度…★★☆☆☆
「全員のレベルやカテゴリを最高まで上げる」などのやり込み実績があるが、終盤は経験値もしっかり稼げるのでこれらはあまり難しくないし、時間もさほど掛からない。シーキューブを一回彷徨くだけでも全員数レベル上がる。
問題は、モンスター図鑑とアイテム図鑑のコンプリート。
ごく一部ながら、分離や合体をしないとその形態が図鑑に登録されないモンスターがいたり、召喚専用のモンスターもいたりする。しかも出会す機会を逃すと取り返しが付かないものも…。
アイテムも同じで、ボス戦での「盗む」のみで入手できる物がわずかにあるので、これも取り逃すと打つ手なし。
ただ、攻略サイトと睨めっこの状態なら、一周目でも十分に1000G達成可能。基本、もれさえなければ大丈夫。
ゲームの構成上、最後の実績解除は「アイテム図鑑のコンプリート」になる。
ラスボスを倒し、エピローグでシュウがとあるアイテムを手に入れた瞬間に実績解除。コンプリートとなる。
エピローグに最後の解除を持ってくるあたり、凄くニクイ演出だと思う。実績解除で感動したのはこれが初めてだ。
ほんと、ステキなゲームです。
 
おしまい