江戸川式護身術−雷雲拳−講座


【ネタ】…護身術
 
【説明】…T-260Gが開発した護身術「江戸川式護身術−雷雲拳−」を解説するエントリー

 
【独断】…雷雲拳は全くのオリジナルです
「サクっと誰でもすぐにできる護身術」というようなコピーをたまに目にするが、そのような看板を掲げる格闘技団体・道場は勇気があるなと常々思う。
道を修めていく理念としての「護身」なら解る。また、途方もない研鑽により強くなった結果としての「護身」も解る。あるいは、軍隊や警察などが格闘戦での勝率を上げるための実戦プログラムとしての「護身」も解る。
しかし、インスタントな擬似格闘としての「護身」は解らない。
一応、即行で実用的に使えないとこれは詐欺なわけだろう。ロクに体を鍛えたこともない、殴り合いの喧嘩をしたこともない人に、ポンと何かを教えて「ハイ、護身完成。あなたは安全です」と言うのはやはり結構な勇気が要ると思う。これは「強くなる」という保証よりも圧倒的に不確かで責任が重い。
 
もちろんある程度鉄板のハウツーはあるはずだ。防災訓練的に、知ってさえいれば被害を受ける確率がちょっと減る。みたいなの。
しかし、高額なセミナーでその程度のことを教えるのはどうかと思うし、また長期的な道場通いを必要とするなら単に手段を教えるだけでなくキチンと強くなれるところに行った方がいいとも思う。
 
当たり前だが、格闘技ってのは別にヘビー級の力持ちがよりジャイアニズムを発揮するために生まれたものではない。
力まず効果的に力を伝える方法なんて、一般的な格闘技のジムや道場であればどこでも教えてくれる。きちんと基礎からだ。その上でストレングスを施していく。
パンチ一つ、投げ一つ、受け身の取り方一つ、繰り返し繰り返してようやく形になる。端から見たらたかが知れた単純な動作も、反復しなければそうそう正確にできるものではない。
「力を使わず相手を制する」とかは、本来そういう基礎を高いレベルで習得したからなせるものであって、「手っ取り早く使える技」とは本質的には真逆だったりする。最近は介護に古武道の動きが取り入れられていたりもするが、習ってすぐに使えるとしたら、そのような形で相手が動かないことを前提に運動効率を上げるというのが精一杯だと思う。
 
インスタントな“護身術”はいきなり応用の話だ。基礎がないから応用の利かない応用の話である。
自分の動作もまともにできないのに襲いかかってくる相手を緊張状態で捌いてみせろって、実際のところ無茶な話だと思う。
仮に教えてくれる先生自身が本当に強くても、基礎がないまま教わった人にとってどの程度身になるのかは甚だ疑問である。それこそボブの絵画教室みたいに「ね、簡単でしょ?」と言われても実際には全然簡単じゃなかったりするのと一緒だ。
 
はい、そんなわけで、今回のエントリーではインスタントな護身術をご紹介していこうと思う。
その名も「江戸川式護身術−雷雲拳−」。
荒くれ者の多い東京都江戸川区で生まれたマーシャルアーツ。実戦空手道とブーメランを組み合わせたまったく新しい護身術である。…どこかで聞いたことがあるような気がするって? それは気のせいだ。
今ここに雷雲拳の門を叩かんとする若者がいる。 それは貴方だ。貴方だけに伝えよう、雷雲拳の極意を。
うおおおおおぉぉぉ――――っ!

 
■ 弱点は目だ! と思わせるのはよくあること
人体の中で鍛えようがなく決定的なダメージを与えられる部位といえば眼球を即座に思い浮かべるだろう。
たしかに、シューティングゲームやアクションゲームで巨大な敵が現れた時に、その敵の弱点が目であるケースは多々ある。『ゴッドオブウォー』でサイクロプスの目を豪快にえぐり取るクレイトスさんの姿に憧れる者も多い。
しかし、実戦はそんなに甘くはない。もう「弱点が目」であることにみんなちょっと飽きているのである。
GS美神 極楽大作戦!!』でも弱点が目だと思わせておいて本当の弱点は背中…という敵キャラがいただろう。1990年代に連載されていたマンガですらそうなのだ。2010年代に突入した現在、目に対する直接攻撃は時代遅れと言わざるを得ない。
最近の流行はやはりトサカの部位破壊だろう。
 
■ 金玉はシャオリーを使う
もう一つ人体の弱点として思い浮かべるのが男性の睾丸だ。いわば体外にある内臓、これは確かに有効である。
しかし、実のところ狙って金的を放つのは難しい。足の甲を下からすり上げる金的蹴りはインパクトの位置、角度、スピード共に蹴り技自体の習熟が必要で、慣れていないとスムーズには入らない。取っ組み合いの中で膝蹴りで狙う方が確実だが、当前その距離であれば相手の攻撃も覚悟しなければならない。
また、金的は角度良く強打しない限りは意外と耐えられたりする。もちろん軽くでも打ち付ければ痛苦しいことには違いないが、あいつらも伊達にグネグネしているわけではなくそれなりにシャオリーらしきことをしてダメージを軽減するのである。
やつらのシャオリーを無効化したくば壁(骨盤)を利用して力の逃げ場をなくすのが最も効果的だ。壁を利用すればシャオリーは使えない。
ちなみに、シャオリーがなんなのか分からない方は格闘マンガ『バキ』の26、27巻を参照していただきたい。
 
■ ブーメランを使え
護身が必要となる緊急事態において、あなたが格闘の素人であるとするのならば武器の使用を躊躇う必要は全くない。
ただし、刃物はやめた方がいい。一度刃物を取り出すと、それはもう命のやり取りになってしまう。
そう、そこでブーメランなのである。長さ50cm強の木製のブーメランがあれば全ては事足りる。
鈍器として使えることはもちろん、打突に用いることも可能。攻撃をされたときの盾にもなる。なおかつ遠距離から投擲武器としても使用できる。ブーメランは全方位型の護身具なのだ。
問題は、ブーメランを携帯する際の日常生活への支障だろう。まだ雷雲拳が浸透していない今の世にあっては、その機能美が理解されず奇異な目で見られてしまうこともしばしばある。
個人的には携帯電話のストラップとして持ち歩くのが一番自然で良いのではないかと思う。携帯電話を持っていなかったりスマートフォンで取り付けが出来ない場合は、サンバイザー等何か身につける物として擬態すると違和感がない。
 
■ ブーメランにはお洒落で可愛いステッカーを貼ろう
ストレングスを課さず即席でできる護身を旨としているのであれば、その術は日常生活に自然に浸透しているものでなければならない。
いくらブーメランを携帯ストラップと称して持ち歩いていても、そのデザインが無骨であれば、傍目には木刀を腰に差して歩いているのとさして変わりはないだろう。ブーメラン自体もお洒落で可愛くなければならないのだ。
最近では、江戸川区江東区を中心に雷雲拳用のアイテムを取り揃えるスポーツショップや格闘技用品店も増えてきた。ブーメランステッカーの品揃えも豊富になってきている。流行をチェックして季節に合わせたステッカーを貼るのがスマートな護身と言える。
 
■ 左を制する者は護身を制す
ここからは具体的な戦い方に関して書いていきたい。
雷雲拳は右手にブーメランを持ち左手は素手というのが基本的な構えとなる。左手の側を半歩前に出す。足のスタンスは横が肩幅くらい、縦もそれと同じくらいの幅を取り無理のない動きやすい形をつくればいい。
右手のブーメランは基本的には決めの攻撃なので、あまりぶんぶんと無闇やたらに振り回すのは良しとしない。基本は左手でのジャブだ。割合としては左3、右1くらいの頻度で攻撃を出すつもりで。
ジャブで出した左手が相手に掴まれた、あるいは相手が間合いを詰めてきた場合は、ブーメランで容赦なく打突しよう。
はい、それでは実際にやってみよう。
ジャブ♪ ジャブ♪ ジャブ♪ OK! ジャブ♪ ジャブ♪ ブーメラーン♪ Yeah!
 
■ 左のトリプルを狙え
左のジャブをやるのに飽きてきたら、ジャブの直後に前足を回転させつつ踏み込んで左のフックも打ってみよう。
この際腰と肩の捻転差を利用して、若干肩をしならせるようにしてやると威力が出るぞ。手先だけで打たないように注意だ。足腰の捻りで打つように心がけよう。
それにも飽きたら、さらにその繋ぎで角度を変えて左のボディブローも狙ってみよう。この際、相手の右手がこちらのセンターに入らないよう注意しよう。右手をガードに引きつけると軸の安定感も増す。
実際にサンドバッグなどで打ち込んでみよう。
左ッ♪ 左ッ♪ 左ッ♪ Good! 左ッ♪ 左ッ♪ バックステッポォ! ブーメラーン♪
 
■ 足元がお留守ですよ
段々とただの(?)ボクシングになってきたので初心に返りたい。
とはいえ、雷雲拳は基本的に蹴り技や投げ技、関節技などは存在しない。それというのもこれらの技はリスクが大きく基礎訓練を経ずに用いようとするのは危険だからだ。へっぽこジャブはあくまでブーメラン攻撃への布石なのでへっぽこなままで構わない。
強いて言えば間合いを取るのに横蹴りを使うくらいである。近接での打突に自信がない場合に横蹴りを用いて遠間からの攻撃を狙う。
しかし、よほど脚力が強いか相手が打たれ弱くもない限り横蹴りは効かせることは難しい。綺麗に垂直にボディに入る保証もない。あくまで間合いを取るためと割り切ろう。本命は離れた後のブーメランの投擲である。
 
■ 普段からブーメランを投げる練習をしよう
いくら誰にでもすぐにできる護身術とはいえ、ブーメランの投擲には若干のコツがいる。
別に訓練だと思わずに、遊びや軽い運動のつもりで公園などで練習してみるといいだろう。最近では練習用・子供用の日本雷雲拳協会(JRC)公認ブーメランも4980円程度で市販されている。
投擲の際は、やはり肩から先だけで投げずに、足腰からしならせるようにして全身を使う。
上級者になると自分で投げたブーメランを自分の口でそのままキャッチしたりもする。バカな上級者は飼い主がブーメランを取ろうとしても口から離さなかったりするので最低限の理性だけは保っておきたいところだ。
最近ペディグリーチャムが美味い。
 
■ 家族・友人同士で技を試してみる
日常的なスパーリングは必要ないが、全く予行練習をしないのも不安である。
上記の事項を踏まえた上で、ご家族・ご友人同士でぜひ技を試してみて欲しい。

 
…こんなところだろうか。
書いている途中で完全にこのエントリー自体に飽きてしまったので、まとめの部分も全然やる気がない。
ぶっちゃけ、「護身術」を看板のメインに据えている団体は、真っ当じゃないところも沢山あるということが言いたかったのだ。もっと突っ込んで言えば、教えている人間がMMA崩れやフルコン空手崩れで、思いつきやパクリで自己流護身術に仕立て上げている場合もある。
真っ当なところももちろんあるが、たとえ技術的に有効であっても、ベースとなる身体能力*1や格闘そのものに対する慣れをある程度必要とするのが普通である。習えばすぐに…とはいかない。
そういったことを知らぬふり、あるいは本当に知らないままで“護身術”を教えているところもあったりするので、どうにも「護身」と高らかに謳うところには悪いイメージが付きまとう。
やるならきちんとルーツがあって組織立って運営しているところにするのが安全だろう。護身的にも。
 
それが面倒臭いというのならば、ブーメランを持ち歩くしかあるまい。
てきとーに書いたこととはいえ、マジで雷雲拳って有用な気がするぞ。
うおおおおおぉぉぉ――――っ!

 
おわり

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*1:相対的なものではなく、自分の体を自在に動かせる能力