萌え萌え2次大戦(略)☆デラックス


【ネタ】…ゲーム PS2PSP 萌え萌え2次大戦(略)☆デラックス(2008) システムソフト・アルファー
 
【説明】…システムソフト・アルファーから発売されたPC用ゲーム『萌え萌え2次大戦(略)』のPS2およびPSP移植作品
大戦略シリーズの1つと見て取れるターン制戦略シミュレーションゲームであるがシステムは大幅に簡略化され、レベルやスキル、必殺技の概念が導入されていることもあり、遊びやすさを重視した作りとなっている。
また主な登場人物は第二次世界大戦に登場した兵器を少女型に擬人化したものである。これらのキャラクターは主要ユニットとしての役割を担うと共に、それぞれ一定の条件化で発動できる必殺技とある程度ダメージを受けた際に衣服が破損したグラフィックが表示される演出が用意されている(敵味方問わず)。
各キャラクターのデザインは複数のイラストレーターが担当。キャラクターの音声もあり、一般のAVGと大差無いようになっている。更に擬人化されていない従来の兵器ユニットについてもいくつか登場し、主要ユニットの配下として編成が可能。
登場する国は日本・ドイツ・イタリアの枢軸側3ヶ国と、アメリカ・イギリス・ソ連・中国の連合国側4ヶ国となっている。
また、アドベンチャーパートにおいては、様々なアニメ作品を元ネタにしたセリフが多数存在し、死亡フラグなどのネットスラングも豊富に用いられている事が特徴。また、電車男以外で「くぁwせdrftgyふじこlp」を音読した数少ない貴重な作品でもある。
 
  
【独断】…掴まされた
油断していた。
今時、そうそうガチのクソゲーに出会す事などない。メジャータイトルもニッチなジャンルも、ゲーム制作のノウハウはそれなりに確立・発展・継承されているし、淘汰も繰り返されている。よほどチャレンジ精神に溢れるソフトでもない限り、まぁ大体はちゃんとしている。
嗜好の問題で「つまらないソフト」なら沢山あるし、程良く手抜きされたモノも腐るほどあるのだが、逆に言えば自分の好みにさえ合っていれば、コンシューマーゲームで大ハズレということは、近年ほとんどない。
 
なんで冒頭でこんな話をするかって、その「ほとんどない」はずのモノに当たってしまったからである。久々に。
  
…いや、言い方が難しい。本作『萌え萌え2次大戦(略)☆デラックス』は、別に「クソゲー」というほどでもないのだ。前述のとおり、今どきゲームとして破綻しているほどのゲームはあんまりないのである。
煌星の如く輝いていたメガドライブクソゲー群を思い出せば、別に本作の不出来な部分など大したことはない。むしろ良くできているとすら思える。
ただ、期待させるわりにはあまりにも半端なデキなのだ。
 
まずタイトルを見てみよう。『萌え萌え2次大戦(略)☆デラックス』…最高にステキなタイトルである。
今時「萌え萌え」って…ストレートにもほどがあるネーミングだろう。この時点で堅気のお客様はお断り。「オタクしか食いつかなくても結構です」とでも言わんばかりに堂々としている。実に歪みない。
ジャケットを見ても、ものの見事にエロゲチックな美少女たちで溢れている。…これは期待できる。
  
 
ゲーム内容は、凄く乱暴に説明すれば「兵器が美少女に擬人化された『大戦略』」だ。
つまり、メッサーシュミットBf109やT-34中戦車や九七式艦上攻撃機が美少女になって、マップ上で戦うのである。
…この概念、オタクであれば今の説明だけ解って頂けるのだが、そうでない方の場合、かなり理解に苦しむのではなかろうか。
故・坂井三郎先生に「つまり、零戦がすっごいカワイイ女の子になって自分で戦うんですよ!」と言ったら、「戦闘機なめんな」と言われてぶん殴られそうな気がする…。
舞台は第二次世界大戦中の世界各国。擬人化された兵器の美少女は「鋼の乙女」と呼ばれ、各国各軍数人しかいないエースとして扱われている。通常の擬人化されていない兵器も多数登場し、「鋼の乙女」はそれらを率いて敵軍と戦う。
 
アドベンチャーパートと戦闘パートで分かれていて、アドベンチャーパートでは、「鋼の乙女」たちの日常でのやり取り、ブリーフィングの様子などがフルボイスで展開される。
戦闘パートでは、プレイヤーがマップ上で自軍ユニットを操作し、敵を倒し、各ステージ毎の勝利条件を満たしていく。マップはヘックスで構成されており、ウォー・シミュレーションゲーム大戦略』シリーズをまんま簡略化しまくった感じになっている。
敵を倒すと経験値が貰えてレベルアップ! 強力な必殺技で敵を一掃! と、まぁ、一応近代ウォー・シミュレーションのわりには、戦闘部分もかなり砕けている。
 
 
いやさ、普通に考えれば、これでハズレはないだろう。
アドベンチャー部分はギャルゲー、戦闘部分は『大戦略』、どちらも今日の日本において、ガッチリと確立されてきたジャンルだ。日本の伝統芸能と言っても差し支えない。
過度な期待こそできないが、二次元美少女がキャッキャしている様子を拝み見て、そこそこ楽しい戦略シミュレーションができりゃ、それで満足。このソフトを買っていくお客さんって、私も含めて全員そんな感じだろうと思われる。
 
…ところが! そんな低いハードルをも越えられないほどに、本作のクオリティはヒドイことになってしまっている。
アドベンチャーパートは、プレイヤーの分身となるような感情移入先のキャラがいないため、女の子たちがテキトーに会話をしていく様だけが描かれる。で、変に“史実”という縛りがあるものだから展開自体はわりと淡々としていて、遊びが少ない。ただ単に真面目なキャラが真面目な発言をして、軽いキャラが軽い発言をするという、性格紹介のような内容になってしまっているのだ。
戦闘パートは簡略化されすぎて、頭を使う要素がほとんどない。基本、相手の間合いを見て各個撃破でイナフだ。設定的に砕けているわりには、こちらも遊びの要素が少なく、単純にユニット同士のパラメーターをぶつけ合うような内容になっている。
結果、アドベンチャーも戦闘も淡白で、テキスト読みと数字合わせを延々と繰り返しているような気分になってくるのだ。長時間プレイしていると、「なんで俺はこんなことに時間を費やしているんだろう」という、地雷ゲーム特有の“あの”感覚に襲われる。
つまり、総じて言って面白くない。
 
 
基本的に本ブログでは、何事においても一方的なネガキャンは行わないことにしているし、「悪し」という結論しか出せないことに関しては書かないようにしている。
なんで本作『萌え萌え2次大戦(略)☆デラックス』のエントリーを書いたかというと、これが非常に惜しい内容であったからだ。
兵器を美少女に擬人化するという発想は(不謹慎ながら)バカで面白いし、キャラクターデザインを担当しているイラストレーターも美樹本晴彦北爪宏幸六道神士小梅けいとMaruto!藤沢孝、等々、意味不明な豪華さ、間口の広さを誇る。
「鋼の乙女」がダメージを受けると段々着ている衣服(設定では「装甲」らしい)が破れていくという設定も、素晴らしいと思う。
SLGシミュレーションゲーム)としての簡素過ぎるデキも、あるいは完全にアダルトゲームであれば許されたのかも知れない。
ギャルゲーならギャルゲー、SLGならSLG、どちらか一方でもそこそこのデキであったならば、十二分に楽しめた作品だと思う。個人的には、せっかくバカな設定なんだから、美少女モノとしてはじけて欲しかった。
 
 
本作を買って、ある程度プレイしてからレビューを見てみたのだが、やはりこのソフト、方々でクソミソに言われているようだ。
…う〜ん、惜しい。この手の作品が地雷になってしまうと、ユーザーからの信頼に関わる。「やっぱりバカな設定のゲームはダメだな」と思われれば、今後こういうアホ企画は作り手にとってもやりづらくなる。
双葉理保なみに地雷原を駆け抜けるような感じだったらそれはそれで良いんだけど、『萌え萌え2次大戦(略)』の場合、一見ちゃんと力が入っていそうな雰囲気だからなぁ…。別にシンプルシリーズとかでもないから価格もそれなりに高いし。
 
貴方もツンデレ巨乳の富嶽レズビアンのJu87が見てみたいとは思わないか?
『萌え萌え2次大戦(略)』ではそれが見られるのである。ある意味、男の夢を一つ実現させたソフトと言っても過言ではない。
結果的に非常に悔やまれるデキになってしまったが、今後このソフトの志を継ぐ作品がハイクオリティで出てきてくれたら嬉しい。
 
おわり
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