ゲッサン


【出典】…雑誌 小学館 ゲッサン(2009.05.12-)
 
【説明】…小学館が発行する日本の月刊少年漫画雑誌
2009年5月12日創刊。毎月12日発売。創刊号の発行部数は28万部、ターゲットは中高生以上を中心として幅広い年齢層としている。
創刊前より「漫画力絶対主義」をキャッチコピーとして使用。また「男の子が自立するために絶対必要なふたつのキーワード」としてアイデンティティー「愛と勇気」を掲げている。

 
【独断】…面白くないような空気を感じる…
面白くないわけがない。
見ろよこの作家陣! カッチカチやぞ!

島本和彦、ヒラマツ・ミノル、あずまきよひこ、荒井智之、吉田正紀あだち充杉本ペロあおやぎ孝夫、森尾正博、
坂ノ睦(作画)・和田竜(原作)、ながいけん中道裕大石井あゆみ福井あしびモリタイシ四位晴果アントンシク

…う〜ん…、「ぼくのかんがえたさいきょうのまんがざっし」状態。
“最強”とまでいかずとも、なんというか「としあき二次裏住人)好きのするメンツ」である。実際私の好きな先生も多い。元週サン作家の中でもコアな人気を持った方々が集まっているし、あからさまな目玉も何人かいる。おまけに有望な若手作家にもしっかりとチャンスが与えられている。とりあえずマンガ好きなら創刊号は捨て置けない。
…というわけで、実際に読んでみたのだが、これがあまり面白くないような空気がするのだ。
いや、「面白くない」と言っているわけではない。面白くないような“空気”がするのだ。
つまり、作品単品単品は結構良いデキのはずなのに、雑誌全体を見たら今二つ盛り上がりに欠けていて、この先も大いに盛り上がっていくことがないように感じるのである。
この雑誌が創刊されたばかりで、各連載作品がどう転ぶかもわからない、ということを前提としても、個人的には「あんまり…」という印象だった。
 
マンガ雑誌をどういう基準で買うかは、人によって、また場合によって微妙に違うと思う。
「好きな作品が沢山連載されているから買う」というのは当たり前だが、「むちゃくちゃ好きな作品が一本あって、その他はわりとどーでもいいけど一応楽しめるから買い」という場合もあるだろう。「特別好きな作品はないけど、雑誌全体として楽しめるから買う」ってことも少なくないと思うし、「分厚い中に“大当たり”や“小当たり”がチラホラあるから買う」なんてのもあると思う。
私の場合は、別に明確な基準なんてないのだが、濃度というか掲載作品の平均点(善し悪しではなく、好き嫌いの点数)が高いと買う。
だから、単行本には全く手を付けないくせに定期購読している雑誌はあるし、逆に、凄く好きな作品が一、二本あって他はイマイチというような雑誌はまず買うことがない。また、平均点を下げてしまっている作品が多いと、他に面白い作品があってもなんとなくその雑誌全体をつまらなく感じてしまう。
で、ズバリ言って、ゲッサンはその濃度が薄い。
 
というのも、ゲッサンの「柱」の方々の作品が妙に力が抜けていて、それ以外の「若手」〜「中堅」の方々の作品が逆にかなり“優等生”すぎるのだ。
柱(?)の一人であるながいけん先生の作品がこの先どうなるのか全く分からないが、その他の柱である、島本和彦先生、あずまきよひこ先生、あだち充先生、この御三方の作品が、どれも、なんというか、“自分の仕事”をしていて、文句なしに面白いけど大盛り上がりする作風でもないのである。(そもそもあずま先生は短期連載なのですぐにいなくなってしまう)
そして、これからガッツリとストーリーを始めていこうとする作品群が、どれもあまりにマンガ文法に則り過ぎていて、面白そうだけど、「これは!」という驚きがないのである。
総じて言って、「落ち着きすぎな雑誌」という印象になっている。
実際読者層もオッサンが中心になりそうではあるんだが、雑誌の方から変に落ち着かれるのもイヤなのだ。
真っ当な「マンガ好き」の人からすると、多分ゲッサンは良品質の雑誌だと思う。全体的に間違いなく面白いはずなのだと思う。
…でもやっぱり“薄い”のである。
 
別に奇を衒った作品が読みたいわけではない。もうちょっとスケールの大きな作品がいくつかあってもいいんじゃないか、とか、ロマンに溢れた作品があってもいいんじゃないか、とか、そういう岡目八目&ワガママである。
どの作品も着地点の枠が最初から見え過ぎているのがイヤなのだ。面白そうだけど「この先どうなっちゃうの!?」というワクワク感が全くない。どれもが「フツーに良いデキの○○(ジャンル名)マンガ」という感じなのである。
 
とはいえ、まだまだ助走期間。実際どう転ぶかなんて誰にも分からない。
…え〜…、これだけ悪口を言っておいてなんですが、少なくともあと半年は買ってみようかと思います。ゲッサン
多分私のクソ予測なんて外れるだろうし、この先ゲッサンは大いに盛り上がっていくと思います。
初めにこれだけ悪口を書いた以上、この先ゲッサン関連のエントリーではネガティブなことは書きません。多分。
 
…う〜ん、雑誌を作るのって難しいんだろうなぁ。
『それならあなたが編集長』ってシミュレーションゲーム出ないかね。『商業雑誌をつくろう!』(SEGA)とか。略して「ザッつく」。長期契約ばっかりにして、有能漫画家を飼い殺すゲーム。オモシロそうなんだけどな。芝を張り替えると怪我をする確率が下がる。スタジアムをでかくすると客も増える。
あとは…漫画家の部位破壊をするゲームとか。シビレ生肉を食って麻痺している島本和彦先生に大タル爆弾Gを直撃させたり、壁に突進してツノが抜けなくなったあだち充先生を攻撃したり、閃光玉を投げつけてあずまきよひこ先生の目を眩ませたり。…イヤなゲームだな。
 
忍びの国』が面白かったです。
 
おわり。

ゲッサン 2009年 06月号 [雑誌]

ゲッサン 2009年 06月号 [雑誌]