みなみけ


【出典】…アニメ テレビ東京 みなみけシリーズ 原作:桜場コハル 制作:童夢(一期)、アスリード(二期、三期) 
 
【説明】…桜場コハルによる漫画作品、およびそれを原作としたアニメ・ドラマCD作品
このエントリーでは、アニメシリーズを取り上げる。
2007年10月から12月まで『みなみけ』、2008年1月から3月まで『みなみけ〜おかわり〜』、2009年1月から3月までが『みなみけ おかえり』のタイトルで、テレビ東京系にて放送された。
南家の3姉妹、ハルカ・カナ・チアキの平凡な日常生活を描いた作品。平凡な日常生活ではあるが、一癖ある登場人物たちが作品を盛り立てている。

 
【独断】…ちょろいもんだぜ(俺が)
二次裏(画像掲示板)で評判だったアニメ作品を見ていこうツアー」その2。
 
上記「説明」の項にあるように、この作品に確たる話の縦筋というものはない。
アニメ第一期のOPでも「この物語は南家3姉妹の平凡な日常を淡々と描くものです。過度な期待はしないでください」と、先手を打って注意を促している。
要するに、女の子たちがテキトーにキャッキャウフフとやっている様を、視聴者が涙を流して拝み見る、そんな番組である。
 
第一期放送中の2007年から、二次裏のみならず、方々でこの作品の評判を耳にした。
やれ「あのキャラがカワイイ」だの、やれ「あの話は和む」だの、やれ「あのエピソードは共感できる」だの、そんなんばっかりだ。
 
…ゲラな私も、今回ばかりは心を鬼にしてレンタル視聴に踏み切った。
というのも、テキトーに可愛いキャラとヌルいネタだけを取り揃えて、自分から「ヌルいです」と言ってしまうような作品が、最近多過ぎやしないかと思うのだ。ストーリーもギャグも萌えも何もかも、ガチでやることを昨今の作家先生方は避けてはいないだろうか。
「視聴者たちよ、これでいいのか?」と。「キミたち、ナメられているんだぞ!」と。
少なくとも私は、オタクウケする要素だけで構成された作品にホイホイ付いていってしまうような軟弱者ではない。
こんなチョロイ考えで作られている作品が、面白いわけが…
面白いわけが…
 

…我ながら、ひどいネタ振りだが、あの、まぁ…面白かったわけです。

 
↑のようなケンカ腰の考えも、本当になくはないのだ。オタク向けの箱庭的な作品って最近多いよなぁ、くらいには思う。
ストーリーがガッチリと構成されているわけではなく、80年代・90年代に流行ったハーレム状態の露骨な萌えもなく、視聴者がわりと俯瞰な立場で見ていくミドルテンションな作品。
ガチにストーリーが組んであるアニメにも、たまに閑話に当たる回があるだろう。ストーリーの本筋にあまり関係しないエピソード。そういうのって力が抜けてて結構面白かったりするんだが、最近の箱庭作品って、そういった閑話だけで構成されているような感じなのである。インスタントラーメンの欠片をポリポリ食ってたら存外美味しかったので、それをまとめてベビースターラーメンとして売ってしまう、と言えば分かりやすいかも知れない。
一応、ゆる〜くストーリーは存在していて、エピソードもちゃんと蓄積されているし、キャラクターたちも成長はするんだが、例えばラブコメとして恋愛を“やらなければいけない”わけでもなく、ギャグやシリアスを本気で“描かねばいけない”わけでもない。総じて言って「ヌルい」のである。
わりと邪道といえば邪道。ただ、『サザエさん』(1969-)を筆頭に、昔から箱庭作品そのものは堂々と存在するわけで、「これは伝統芸能でやんすから、フヒヒ…」と言って許されてしまっている感はある。

 
…とかなんとか、ここまで御託を並べておいてなんだが、やっぱり面白いんだよなぁ、『みなみけ』。
なんというか、総じて言って、爽やか。イヤらしさがあまり感じられない。
キャラ自体は結構“狙って”いってるはずなのに、だ。
スタイルが良くて優しい長女、アホだが時折可愛い次女、ロリなのに辛口な三女。主役のこの三人を始めとして、男の子みたいな女の子や、女の子みたいな男の子がいたり、眼鏡っコ(♀)がいたり、美形ながらもナルシストでアホなやつ(♂)がいたりと、確かにオタク好きのする布陣ではあるのだ。
だが、どれもやりすぎてはいないのである(保坂というキャラを除けば)。萌え原色で塗り固められてケバケバしくなるようなことがない。どのキャラも良い塩梅のフィクション具合で、その有り様が等身大な感じで愛おしい。
萌えアニメに胸焼けを起こしてしまうような人にも自信を持ってススメられる。話に派手さはないから、過度な期待はしないで欲しいが…。

 
ちなみに、私が一番好きなキャラクターは保坂だ。あいつが出てくる度にワクワクする。
南家長女・南春香に惚れているバレー部主将の保坂。春香に汗を拭いて貰いたくて、彼女をバレー部のマネージャーとして迎え入れようと彼は様々な手段に出る。
そんな『DUEL LOVE』(2008)な保坂だが、彼の計画は毎度毎度あまりに遠大であり、これまで春香と直接的なコミュニケーションを取った事すらほとんどないのである。
例えば、春香が料理好きだと知るや、彼は「最高の料理」を作ろうと、プロ並みの修行に出る。そして超クオリティのお弁当を作り上げるも、「南春香に食べさせるにはまだまだだ」と言って、結局渡す事はないのである。
春香が町内清掃に参加すると聞けば隣町から掃除しにやってくるし、春香が鍋が好きだと知れば最高の鍋を作ろうとするし、春香が留学するという話を聞けば海外に出る準備をする。春香とは一切会話をしたことがないのに、だ。
何事もあまりやりすぎない『みなみけ』にあって、一番のネタキャラである保坂。しかし彼のその愛は本物である。私は彼が登場するたびに、その想いが春香に伝わってくれないものかと真剣に願ってしまう。
保坂の声を当てているのは、“あの”小野大輔さんだ。小野さんは保坂をそのまんま三次元にしたような人で、今回、本当にハマリ役だと評判である。
ハンサムで汗っかきで発言が妙にきもちわるい小野さん(最近「きもちわるい」と言われる事をマジで哀しんでいるっぽいので、ファンの方もほどほどに)。私はラジオ『DearGirl〜Stories〜』(2007-)を聴き始めてから小野さんの大ファンだったので、この役のハマリっぷりは実に嬉しかった。
  
 
他にも魅力的なキャラクターや、ツボ突いたエピソードが沢山出てくる。(保坂以外の話題は随分ぞんざいなまとめ方だ)
視聴している最中あまり意識しなかったが、よくよく考えてみると結構露出シーンの多いアニメでもある。小中学生の脱衣姿がバンバン出てくる。…これって、一応その道のお客様もゲットしているのだろうか。…しているのだろうな。
 
 
お試しでレンタルしてみたのに、気が付けば三日で第一期・第二期合わせて2クールを一気に視聴してしまった。
第二期を見終えたのもつい今し方なんだが、現行放送中の第三期もたまたま今日が最終回だったようで、これも何かの縁かと思ってブログにエントリーした次第である。
ファンになって三日目の超にわかだが、言わせて貰おう。
「第四期放送希望!」と。
 
…俺、本当にチョロイな…。
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