東方改変記〜紫幽編〜
【出典】…インターネット ニコニコ動画 東方改変記〜紫幽編〜(作:ヨーセン 2008.12)
【説明】…同人弾幕シューティングゲーム『東方Project』の二次創作作品
ニコニコムービーメーカーを使用した紙芝居形式のコメディ作品。マウスとペイントによる素朴な画風と、音声読み上げソフトによる棒読みのセリフ回しが特徴。
『東方Project』シリーズの過去の話を主題としており、既存の公式設定に至るエピソードなどが、独自の視点で描かれている。
【独断】…『レミリアのカリスマ懺悔室』復活記念エントリー
前回に続いて、『東方』二次創作動画の紹介。こちらの作品も『東方Project』の公式設定を補完する形で、ゲーム本編の過去のエピソードを描いている。
「説明」の項は、省エネ(不精)のために前回の『ちっこい咲夜さん』のコピペみたいな感じになったが、肝心の内容・作風は全く違う。どれくらい違うかと言うと、佐賀県旧大和町のイメージキャラクター「まほろちゃん」と、茨城県下妻市のイメージキャラクター「シモンちゃん」くらいに違う。…分かりにくいだろうか。『ナウシカ』に出てくる虫と、『パンツァードラグーン』に出てくる攻性生物くらいに違う、と言えば分かり易いかも知れない。
…強いて共通点を挙げるとするなら、どちらもBGMの選曲が非常に上手いということくらいである。
作者であるヨーセンさんの代表作は、『レミリアのカリスマ懺悔室』というコメディシリーズだ。カリスマ吸血鬼レミリアが、ラジオ番組のようなテイでテキトーな事を喋りまくる。落書きのような絵と(失礼)、テキスト読み上げソフトによる棒読みセリフだけで構成されている動画なのだが、そのテンポとセリフ回しの切れ味が素晴らしく、もの凄く中毒性が高い。
今回紹介させて頂く『東方改変記』シリーズでは、そのコメディの調子も残しつつ、途中にかなりシリアスな展開が入ってくる。
…いや、あまり変に小難しい話にもしたくないのだが、例えば、お笑いの人が本気でやるコントって、劇中、“笑い”と“シリアス”を行ったり来たりするもんだし、センスのいい人ってその辺の境界を自由に行き来できるんだよなぁ。…というような事を、ヨーセンさんやリーチャさんの動画を見ていると考えさせられる。
実際、見ているこちらの気持ちの振り幅がデカイのである。笑えるんだけどその直後に感動できてしまったりする。
ゲームでは、例えば『ライブ・ア・ライブ』(1994)なんかが、そういう要素の塊だったし、マンガでは、例えば西原理恵子先生の作品なんかが、そういったものの権化だと思う。シャレにならない状況を喜劇にも悲劇にもできる。「えっ!? そこをギャグにしちゃうの!?」と思ったら、さっきまで“ギャグ”だったもんが突然“悲劇”になったり“感動”になったり、そこからまたまた“ギャグ”に復ってきたりする…。
ずっと真剣のまんまギャグとシリアスをやり通すわけだ。これができない人は、シリアスの時だけ真剣を持って、ギャグの時には竹刀に持ち替えてしまう。
落語なんかが分かり易い。
「下手だけど面白い落語」と「上手いけど面白くない落語」…なんて話はよく聞いたりするが、前者はとにかく真剣のまんまぶん回してて、後者は逐一得物を持ち替えながらキレイに型をこなしているだけ、なのかも知れない。まぁ、私は落語なんて聞いた事がないから、今の話は完全なる言いがかりなんだけど。…なんで落語なんて言い出したんだ、俺。
…要するに、「才能の無い人は何をやってもダメ」(やついいちろう語録)、ってことだ…。
はい。というわけで御託は小休止して、スーパー無断転載タイム。
こちら↑が前編。
こちら↑が後編。
どう考えても、『東方』に興味が無い人には解りようがない内容なんだが(さらに言えば『うしおととら』も見ていないと…)、一応説明すると、『東方Project』に出てくる、最強の亡霊「西行寺幽々子(さいぎょうじゆゆこ)」と最強の妖怪「八雲紫(やくもゆかり)」の出会いを描いた作品である。
ゲーム本編で亡霊として登場する幽々子が、まだ一人の人間として生きていた頃の話だ。
前後編合わせて10分ちょっとの動画なんで、話自体は非常に短い。が、内容はかなり詰め込まれている。ビジュアルもセリフも簡素な分、脳内補完を前提としたやり取りがガンガン進行していく。
とにもかくにも、最大の見所は後編で描かれる西行妖(本作では白面金毛九尾の狐の姿になっている)とのバトルだ。
ふざけたセリフを挟みながらも、全員のやり取りがムチャクチャ流麗でたまらない。…全部、読み上げソフトによる棒読みなのに。
しかもバックで流れているのはMuseの『Stockholm Syndrome』。もう、悲壮感全開である。…落書きみたいな絵なのに(失礼)。
個人的に一番グッ!とくるのは、大ピンチの場面で幽々子が「ねえ、紫」と、落ち着いた声で紫に話しかけるところである。妖怪である紫を個人として信頼し、なおかつ、自身の最期を覚悟しきったその声、そのセリフに胸が締め付けられた(繰り返しますが、セリフは棒読みです)。
…なんか、この紹介記事で30%くらいネタバレしてしまったような気もするが。今回の動画はバレがどうのという内容でもないので、多分大丈夫だ。
よろしければ、是非、御覧になって下さい。爆裂にカッコイイです。
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