【東方】ちっこい咲夜さん【手書き】

 
【出典】…インターネット ニコニコ動画 【東方】ちっこい咲夜さん【手書き】(作:リーチャ 2008.11-2009.02)
 
【説明】…同人弾幕シューティングゲーム東方Project』の二次創作作品
ニコニコムービーメーカーを使用した紙芝居形式のコメディ作品。マウスとペイントによる素朴な画風が特徴。
東方Project』シリーズの過去の話を主題としており、既存の公式設定に至るエピソードなどが、独自の視点で描かれている。
 
【独断】…『ちっこい咲夜さん』シリーズ終了記念エントリー
当たり前だが、二次創作物というのは、本家の設定をデフォルメ化した内容のものが多い。
『東方』の場合は、バックボーンになっている世界観が大がかりなわりに、実際にゲーム本編で描かれているキャラクターのエピソードはもの凄く少ない。そのギャップがプレイヤーに想像の余地を与え、大量の二次創作物が発生する源となっている。それゆえに、“定番”の二次設定がいくつか確立されていったり、そこからさらに三次設定が生まれたり、本家とかけ離れてデフォルメ化された四次設定まで出てきたりと、エスカレートしやすい面もある。
例えば、原作本編で仲の良かったキャラクター同士が、レズビアンとしてカップリングされていき、さらには、その一方のキャラが日夜相手を想って自慰にふけりだし、最終的には、相手を模したダッチワイフを制作してオナニー中毒に至ったりするわけである。
当然、その同人作家によってデフォルメの度合は全く違うが、中には、「森近霖之助」のように、もはや取り返しの付かないくらい人格崩壊が定番化しているキャラクターもいる。
 
本作『ちっこい咲夜さん』は、逆に、公式設定に至るエピソードを補完する形をとっている。
勿論、登場人物たちは本家キャラをいじったモノであるし、エピソード自体が作者であるリーチャさんの勝手な創作ではあるのだが、その真面目なつくりに私もかなり感動した。
東方二次創作は、シュール系のネタが大流行している背景もあって、「キャラ崩壊合戦」みたいになっているところも正直ある。ぶっ飛んだもの勝ちというかなんというか…。個人的にはそういうのも好きだけれど、こうして、程良く緩く原作の補完やら独自解釈やらを考えるのが、本来の同人活動のあり方だよなぁ、とか思ったり思わなかったりする。
 
…話が変に真面目くさった。
そんなことはどうでもいいので、早速、件の動画を貼っ付ける。こちらが第1話。
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内容的な特徴としては…
☆ 咲夜が子供
☆ チルノがバカじゃない
☆ 霊夢魔理沙は登場しない
といったところ。流石に、『東方』に関してある程度知らないと楽しめない…かも知れない。
全部で13話くらいだと思ったが(各話4〜9分程度)、その中で、咲夜の成長過程が非常に上手く描かれている。アホな子→素直な子→頑張る子→背伸びする子→【10年の壁】→瀟洒。という諸行無常が、愛おしく、かつ切ない。
最大の見所は、チルノとのやり取りだ。本家公式設定で「バカ」扱いされているチルノだが、このシリーズのチルノは基本的に馬鹿ではない。咲夜のお姉さん的な役回りで、ファンからも「チル姉」と呼ばれている。
…というか、短いシリーズなだけに、ネタバレを避けて言えることが少ないこと少ないこと。具体的な内容に関しては、「よろしければご覧になって確認してください」と言う他ない。
 
リーチャさんの作品は、『ちっこい咲夜さん』に限らず、「世の理」みたいなもんへの諦観と反発が一緒くたに詰め込まれているところがあって、短い動画の中でガンガンと雰囲気が切り替わる。「多分、テキトーな思いつきで始めたんだろうなー」というようなネタ作品でも、セリフ回しが無闇に切れ味良かったり、オチが妙に切なかったり、見ていて引き込まれる事が多い。
これは、そこそこ歳くった人じゃないと出せないセンスだと思うんだが、リーチャさんて、一体いくつなんだろうか? ちなみに「現在求職中」らしいが…。(私は勝手に自分と同世代くらいだと踏んでいる)
BGMの使い方にも定評がある人で、その選曲に終始気持ちが振り回される。
 
なんか、今回、普通に動画紹介してしまったが、そんだけ素直に「いいな」と思ったわけで、たまにはこういうのもいいんじゃないだろうか(自己完結)。
お時間があれば、是非、シリーズ一気視聴してみてください。