東京魔人學園剣風帖


【出典】…ゲーム アスミック・エースエンタテインメント(製作:シャウトデザインワークス) 東京魔人學園剣風帖(1998)
 
【説明】…東京魔人學園伝奇シリーズの第一作として発売されたプレイステーション用学園伝奇ジュヴナイルゲームソフト
東京・新宿の真神学園を主舞台とした、人ならぬ『力』を得た少年少女たちの物語。
設定上は1998年から1999年にかけての物語ではあるが、学園ドラマの王道要素や定番の設定や演出を意図的に多く盛り込み、一昔前の学園青春ドラマの雰囲気を作り上げている。
学園ドラマを中心とした物語パートと、敵が出現した際の戦闘パートを交互に繰り返し、ゲームを進行していく。
発売当時ファミ通を始めとした殆どのゲーム雑誌において平均的な評価が下されたが、その中で電撃プレイステーションのみが特集記事を大々的に組むなどして本作を高く評価しており、そこから徐々に人気が広まっていったという経緯を持つ。
2007年1月より、原作ゲームを原案としたTVアニメ版東京魔人學園剣風帖 龍龍(龖)がアニマックスにて放映開始。
また、2008年8月にはニンテンドーDS用のリメイク版がマーベラスエンターテイメントより発売予定である。
 
【独断】…生誕10周年記念エントリー
私はゲーマーとして一つの弱点がある。ソフトのパッケージを見たときに、そのゲームの良し悪しを判断できないのである。それゆえ、変なゲームを掴まされる事が多い。
特に「新システム」という言葉に弱い。
 
昔買ったアダルトゲームで「業界初!キャスト変更システム!」と銘打たれたものがあって、ついつい買ってしまったことがある。
このゲーム、出てくる女の子が全て主人公(男)の家族という設定なのだが、それぞれのキャラクターを「母」「姉」「妹」と役柄を振り分ける事が出来るのだ。つまりさっきまで姉だったあの子が、次のプレイでは母として登場したり、母親だった彼女が妹になっていたり、まさに倒錯したプレイが可能なのである。
試み自体は面白かったのだが、キャラがそもそも三人しかいない上、話の容量も少なく、グラフィックもあんまりなデキだったので(本当になんで買ったんだろう)、ほとんど企画倒れとも言える内容であった。
 
考えてみれば、斬新なゲームシステムというのは、
① これまで誰も思いつかなかった
② つまらないから誰もやろうとしなかった
③ ちゃんと仕上げるには技術や労力が掛かりすぎるから誰もやらなかった
の三択であって、そのうち①は全体の1割にも満たないわけである。
…で、本作『東京魔人學園剣風帖』なんだが、このゲームもやはり斬新なシステムを搭載している。
その名も「感情入力システム」。
普通のゲームのアドベンチャーパートは、主人公に判断を求められた場合、「良い答え」「悪い答え」「普通の答え」くらいしか選択肢がない。本作では恐ろしいことに「同意」「友好」「愛情」「喜」「冷」「怒」「悲」「悩」「無反応」の9種類の選択肢が常に用意されている。その場その場で適切な感情を選ぶとゲームの進行が有利になっていくのだ。
これまた一見無茶な仕様に思えるが、正解と大ハズレ以外はテキトーなリアクションを用意しておけばいいわけで、作るのに意外と労力は掛かっていない。良い感じに面白いシステムである。

実は私はこのソフトを持っているわけではなく、友人TERA宅で、そのプレイ画面を見ていただけなのだが、このシステムがあまりにも斬新だったので非常に印象に残っている。
というのもこのTERAが、何があっても「怒」しか選択しなかったのである。
仲間男 「なぁ[主人公]、お前今日ちゃんと課題やってきたか」
主人公 「怒」
仲間男 「な、何怒ってんだよ…。別に見せて貰おうってわけじゃねーよ」
とか、
仲間女 「ねぇ[主人公]くん、今日一緒に帰らない?」
主人公 「怒」
仲間女 「ご、ごめんなさい。私なんかと一緒に帰りたくないよね…」
とか、
テキスト:クラスメイトに挨拶をしよう
主人公 「怒」
みんな 「な、なんであいつ怒ってるんだ…」
とか、万事がこんな感じ。常に意味もなくキレている。ある意味引っ越しおばちゃんに近い。ぶちギレ金剛でももうちょっとスジのあるキレ方をすると思う。
この怒れる男、ストーリー上一応正義の戦士になるわけだが、アドベンチャーパートでは仲間全員にドン引きされている有様。そんな状況にまた怒る主人公。自業自得だろうに。プレイヤーのTERAまで「全然好感度が上がらない!」とか言って怒り出す始末(こいつの理屈では、「怒れる戦士というのは格好いいからモテるべき」なんだそうだ)。
…この「感情入力システム」、魔人學園シリーズ以外では見かけたことがないので、特許料がベラボーに高いか、あまりマネをしても良いことがないのかのどちらかだと思うのだが、個人的には結構面白いシステムだと思う。今後、魔人學園シリーズがまた出るとしたら是非絶やさずに入れておいて欲しい。
仲間男 「あの野郎!絶対許さねぇ!」
主人公 「怒」
仲間男 「ああ!そうだな!」
たまに噛み合う。
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