ゲッサン 2010年3月号


【ネタ】…雑誌 小学館 ゲッサン 2010年3月号
 
【説明】…小学館が発行する日本の月刊少年漫画雑誌
2010年2月12日発売。創刊第10号。ターゲットは中高生以上を中心として幅広い年齢層としている。
キャッチコピーは「漫画力絶対主義」。また「男の子が自立するために絶対必要なふたつのキーワード」としてアイデンティティー「愛と勇気」を掲げている。
 
【独断】…そういえばバレンタインデー
ゲッサンコミックス、各作品買ってみた。
どれもゲッサン本誌で何度も読み返しているので、あまり新鮮味も懐かしさも感じないんだけど、やっぱり単行本ってのはその作品に一気に浸れるのが良い。
そして、私はなぜか『ここが噂のエル・パラシオ』を二回買っている。
それというのも、とある液体を単行本にぶっかけて汚してしまったので、もう一度買い直したのだ。サービスシーンの多いこの作品が、もう変色してカッピカピですよ、カッピカピ。
 
…えー、そんな少年マンガらしい最悪なエピソードから始まりましたが、今回も頑張っていきましょう。
気になる作品を個別に取り上げ。レッツゴー。
 

とある飛空士への追憶…原作:犬村小六 作画:小川麻衣子
御令嬢空輸マンガ。
シャルルが窮地で覚醒。所謂ゾーンというやつだ。超人的な空間把握能力で敵機を振り切る。格好いい展開。
ただ、やっぱり描き込みの薄さで迫力に欠けているのは惜しい。サンタ・クルスが急加速・急旋回をしているはずなのに、乗っている主人公二人が、わりとフツーに座って、フツーに喋っているのも不自然…というか、勿体ない。
それでも、緩急の付いたコマ割りのお陰で見応えはあります。
なんだかんだで、毎回先が楽しみ。
 

『QあんどA』あだち充
幽霊共存型青春ラブコメディマンガ。
悪ふざけ全開。
いきなり停電(ベタのみ)、メタ台詞連発、再び停電、宇宙と地球を描いて誤魔化す、最後にまたメタ台詞。
こういうのを見ると「こんな悪ふざけが面白いと思ってんの?」とか、「真面目にやれ」とか、「老害」とか、「メガネ」とか、「スケベオヤジ」とか、色々と怒る人たちが出てくるが、私はアリだと思う。
むしろこういうスタンスで一本通してくれたら嬉しいです。
 

ここが噂のエル・パラシオあおやぎ孝夫
萌え萌えハーレム女子プロレスマンガ。
今回は普通にいい話。
ドラマ自体はいつもテンプレートっぽいんだが、それを間違いなくキッチリやってくれるところがイイわけです。
 

アオイホノオ島本和彦
漫画家志望者マンガ。
今月の名言 「もうっ、ただのいい人になり下がっちゃってるよー!!」。
金八先生』第二期の武田鉄矢さんを見て、焔が言った台詞がコレ↑である。いい人に「なり下がる」?
焔曰く、武田鉄矢独自の毒もなく、本来ギャグの人なのに、普通に良いドラマをやって“しまって”いるのだそうだ。
いや、これはちょっと捻くれた人なら「ああっ! そうそう、その感じ、解る!」という一言だろう。私自身は『金八先生』を見た事がないので、件のケースについてはなんとも言えないが、これと似たような思いは幾度もしてきた。
自分の好きなコンテンツが世間でもそこそこ評価されている。しかし、案外、世間に面白いと思われている部分は、そのコンテンツのわりと表面的な部分だったりして、自分の感覚との間にギャップを感じるのである(それが単なる錯覚だったりすることもある)。
分かり易く言えば…面白かった深夜番組がゴールデンタイムに移ったら、全然違う雰囲気になってて面白くなくなっちゃった。でも世の中的にはそっちの方がウケている。…的な状態だろうか。
これが単に視聴者・読者の側であれば、「俺は“本当の面白さ”が解っている」と勝手に自認して済む話だが、漫画家を目指す焔としては、このギャップは越えなければならない壁である。
そして、自分が「浅い」「チョロイ」「安易」と思っているコンテンツも、作る側として練ってみると、案外スゲー難しかったりするのだろう。
頑張れ焔! 負けるな焔! そしてとりあえずなんか描け! …っつっても、何描くかで悩んでいるんだから、描けないのか。
 

『アサギロ 〜浅葱狼〜』ヒラマツミノル
沖田総司マンガ。
山南さんvs惣次郎。
ほぼ互角の打ち合いを見せるが、すんでの所で三段突きをかわされ惣次郎は敗れてしまう。
一瞬の中に詰め込まれたやり取りがとてもイイ。絵柄のせいもあるけど、本当に見てきたかのように描かれている。
それはともかく、ヒラマツ先生は日野市民に血祭りにあげられたりしないのだろうか。日野出身の井上源三郎の扱いが酷すぎる。日野市民の新撰組熱は高いので要注意だ!
 

『いつかおまえとジルバを』横山裕二
HENTAI猫マンガ。
前回出てきた新キャラ(猫)のマリーが良い味を出している。なんか本当に枠が拡がった感がある。
ノリと絵柄がどうにも好みである。描いている本人が多分本当にHENTAIなんだろうって雰囲気もイイ。
 

マコトの王者 〜REAL DEAL CHAMPION〜』福井あしび
人格入れ替わりボクサーズ・ロードマンガ。
面白い。熱い。
わりと日常のドラマを主体としている作品なので、試合そのものをガッツリと描いたりはしないし、主人公二人以外のボクサーに焦点が当てられたこともないのだが、まさかいきなり5階級制覇の化け物ボクサーが出てくるとは思わなかった。
さぁて、どうなるか!
 

忍びの国…原作:和田竜 作画:坂ノ睦
戦国忍者バトルマンガ。
伊賀の術にはまり、意思統一のできていなかった伊勢陣営だったが、猛将・大膳がその術を見破る。伊勢一丸となって伊賀を討つため、北畠家臣団が信雄に協力、これからどうなるか! というところ。
それにしても、このマンガ、いつもテンションが高い。
 

リンドバーグアントンシク
大空恐竜マンガ。
外界での生活が本格化。ニットが飛行大会に出場することに!?
もぉぉぉう、たまりません。ごちゃごちゃ賑やかで、楽しげで、謎あり、旅あり、人情あり。ホントなんなんだろうこのマンガ。
関係ない話だが、予算見直しのため2009年に中止になった「鳥人間コンテスト」、なんと、今年堂々の復活!
そ〜らを自由にっと〜びた〜いなぁ〜♪ 「はい、デスゲイズ!」
 

『よしとおさま』四位晴果
御庭番スタイルBLギャグマンガ
善透とサビ丸の部屋のとなりに暗殺コンビが越してくる。こういう賑やかな展開はイイ。
こんな感じでどんどん変なレギュラーキャラが増えて、収拾付かなくなってくれないかな。
 

信長協奏曲石井あゆみ
戦国ファンタジーマンガ。
戦国時代を描いた作品で、信長(偽)が主人公…にも関わらず、ここまで桶狭間の戦いをサラっと描く作品もそうはないだろう。今川義元なんて顔も出てこなかったぞ。
ガッツリとした戦場が見たい人には期待はずれだろうが、戦いを終えたサブロー(信長)が「俺 今日ちゃんと歴史の1ページを刻んだわー すげー」と暢気に言っているところに、この作品の真髄があるような気がする。
 

『仕事場見たいし!』横山裕二
ゲッサン連載漫画家紹介マンガ。
前から思っていたんだが、横山先生は似顔絵を描くときに結構容赦ない気がする。
ふつー、取材漫画や日記漫画って、実在の人物を可愛く描いたり、面白オカシク描いたりするものだが、横山先生の場合、特徴がない顔の人は、本当にモブキャラっぽくというか、淡白な感じで描く。ある意味リアルなので個人的には安心する。
私は放っておくと、なんのソースもなしに、女性作家は全員美人で巨乳だという先入観を抱くので、横山先生の描写だと変な期待をしないで済む。
今回は『とある飛空士への追憶』の作画を担当されている小川麻衣子先生宅へ突撃。ただひたすらコンビニチキンを食べるお話。
編集ワタナベさんの書いた「コンビニチキン点数表」が結構気になる…。
 
★ まとめ ★
つまらないオチだが、『エル・パラシオ』にぶっかけたのはコーヒーだ。
だが、「画像ぶっかけ」というのは、男性文化に本当に根付いている。ある種“定番”として語られることも多い。
私自身はやったことがないが、理解はできる。開放感と背徳感が交錯する快楽。次元の壁を、イマジネーションだけではなく“行動”で越えようとする、自慰の天元突破とも言えるだろう。
というわけで、ゲッサン! また来月!
 
おわり

ゲッサン 2010年 03月号 [雑誌]

ゲッサン 2010年 03月号 [雑誌]

 
【追記】…大訂正
ゲッサンの単行本に関して、冒頭で

どれもゲッサン本誌で何度も読み返しているので、あまり新鮮味も懐かしさも感じないんだけど

と、書いたけれど、一つの作品だけ例外があった。
マコトの王者』は単行本で読むと凄くイイ!
主人公二人のストーリーを「赤コーナー」「青コーナー」という形で併行して描いている作品で、単行本ではそれぞれのサイドを別々に販売しているのである(ゲッサンでは同時に二話掲載されている)。
設定自体は結構突拍子もないんだけど、改めて片側ずつストーリーを見てみると、どちらも凄く良く出来ている。
やっぱりこの作品、好きです。