ラーメンズと伊集院光

 
【出典】…ラジオ 伊集院光 深夜の馬鹿力(1995-)
 
【説明】…コントコンビ「ラーメンズ」に対するタレント「伊集院光」の発言
 
【独断】…意外とファン層かぶってたりして
私は別にお笑い好きではないのだが、ラーメンズ伊集院光さんも大好きである。
というか、どちらも通常のバラエティ番組では本領を発揮することがない人達だから、むしろお笑い好きの人からは微妙に倦厭されている存在かも知れない。
ラーメンズ伊集院光さん(以下:痴豚)も、ほぼ完全に自分のフィールドで仕事をする人達だ。
ラーメンズは単独ライブ、痴豚はラジオ。一応どちらもテレビに出てくるが、ラーメンズの方は“テレビ用”の演技しか見せてくれないし、痴豚の方はヒヨっていることが多い。ラーメンズは完璧に作り上げた舞台でのやり取りに、痴豚はラジオでの病んだオモシロ愚痴に、それぞれの真価がある。
さて、なんでこの二方を同時に取り上げたかというと、痴豚のラジオ番組でしばしばラーメンズの話題が出てくるからだ。
乱暴な結論から言うと、おそらく痴豚ラーメンズのスタンスが少し気にくわないのである。誤解のないようにフォローを入れておくと、別にラーメンズ自体が嫌いだと発言したわけでもなければ、その実力を認めていないというわけでもない。ただ「その立場ズルくね?」と思っているフシがある。
 
ラーメンズのコント(?)というのは、一般的なお笑いの「ゲラゲラ」をあまり志向していない。
勿論、笑いが基調ではあるし、実際そういう意味でも面白いのだが、コントを見たときの感想は、「ゲラゲラ」というよりも、どちらかと言うと「スゴい」という感じなのである。
滑稽さで笑わせるというより、知的遊戯としての快を目指しているところがラーメンズの持ち味といえる(実際にいくつかコントを見て貰わないとどんなもんか伝わらない…)。バカで、非日常的なことをするが、「お見事!」と言いたくなるような美しいオチや、全体に漂う洒落た空気そのものが“オモシロ”かったりするのである。
そして、それを理解してくれるお客を集めた単独ライブでの活動を中心としている。
 
対して、痴豚の方は、ウンコを漏らそうが血尿を出そうがそれが「ゲラゲラ」であればいい、という考えの基に活動している。
なぜかこの人は日常でイヤな目に遭うことが本当に多いのだが、恐るべき事に、ラジオのトーク上ではその全てを「ゲラゲラ」に変えてしまうのだ。普通だったらただの愚痴にしかならないような話題を、あの手この手でなんとかかんとかオモシロ話に変えてしまう。このゲラゲラ変換能力に関しては世界一の腕前を持っていると言える。
ラーメンズとは対照的に、泥にまみれたところから“オモシロ”を発信する人だ。
だから痴豚としては、「ラーメンズが凄いのは分かるし、独自の路線でやっているのも分かるけど、カッコつけた微笑を狙うよりも、ウンコまみれの大爆笑の方がエラいんじゃないの?」というような思いがあるのかも知れない。
もちろんこれは私の憶測だし、多分ここまで直接的に批判的な考えでもないとは思うのだが、分かり易く字面にするとこんな感じだろうと思う。
 
というのも、痴豚がラジオで「C-1グランプリ」こと「キングオブコント」の話題を出したときに、以下のようなことを言っていたのだ。
ラーメンズってどうするのかね? ラーメンズはもう(C-1グランプリに)出るしかないでしょう。
これで出ないでラーメンズが出てたら優勝だったよね、って言われるのも凄くカッコ悪いし。
出て優勝して“神”になるしかない…よね。凄くシュールなのやって逃げるっていう手もあるけど」
…うろ憶えだが、こんなような内容だったと思う。
 
なんだかんだ言って発言の内容には人一倍気を遣う痴豚が、わりと近しい同業者に対して(ラーメンズ片桐仁さんは兄弟番組のパーソナリティ)こういう言い回しをするってのは、本音は推して知るべし、なところである。
「お前ら誤魔化しの利かないところで本当に笑い獲れるの?」ということだ。
それと同時に、これは痴豚自身の価値観を試される場でもある。これで本当にラーメンズが出て優勝したらそれはもう「参りました」と言わざるを得ないだろう。
そして仮にそうなった場合、複雑なことだが、恐らく痴豚の中では、悔しさよりも嬉しさが勝ると思うのだ。案外真面目な芸人さんだから「認めざるを得ない凄いモノ」に関しては喜んで受け入れると思う。
だからこそ…
ラーメンズが本当にC-1出てきたら、俺は正座して見ると思う」みたいなことも言っている。
C-1の申込締切は今月(2008年7月)いっぱい。これだけ書いといてなんだが、多分ラーメンズは出ないだろう。というか、もし出たら、お笑いにあんま興味ない私でも、正座をして見ると思う。仕事休んででも。
 
はてさて、こんな対極的なお二方だが、「独自路線の芸人」ということ以外にも、ヘンな共通点が一つある。
どちらもなぜか本格的に売れる前に立川談志にその能力を認められていたりするのである。独自路線の神様には何か感じるところがあったんだろうか。
片や“芸術”、片や“うんこ漏らし”なのにな。
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【追記】…ファン
ラーメンズのファンは女性の比率が非常に高いような気がする。というか小林賢太郎さんは確かに格好良すぎる。いや、勿論仁さんも凄く色々とイイと思います。例えば……ん〜…とか、…んん〜…とか、…んんん〜…もそうだよね。
伊集院さんのファンは男性の比率が非常に高いような気がする。というか随分昔、ナンシー関さんにそのことをネタにされていた。「伊集院のファンはオタクっぽくてキモい」と。いや、全くその通りだと思う。鏡見て納得します。
両方のファンだって人はどのくらいいるんだろう。
 
【追々記】…キングオブコント
詳しいことは全く知らないのだが、テレビ番組である以上、尺の問題が非常に大きい。伏線を入れて落とすといった大がかりなコントには全く向いていないだろうと思う。そもそもこれいつやるんだろう。