きまぐれオレンジ☆ロード


【出典】…集英社 ジャンプコミックス きまぐれオレンジ☆ロード1984-1987)

【説明】…超能力一家の長男、春日恭介が、自身を取り巻く三角関係に苦悩する青春ラブコメディ漫画
学園一のスケバン少女、鮎川まどかに惹かれつつも、積極的なアプローチをしてくるまどかの妹分、檜山ひかるを無下にはできない恭介。ひかるのその可愛らしさに思わずデレデレしてしまう。いつのまにか同級生からはカップルとして認知されてしまうが、それでも恭介はまどかのことが気になって仕方がなく…。
こうして3人の関係は奇妙な三角関係へと発展してしまったのだった。

【独断】…まなみ(妹一号)が一番カワイイ!
あらすじからして、どこぞの熱血漫画家にぶん殴られそうな内容である。
美人で頭の良い同級生と、可愛く健気な後輩との間に揺れる優柔不断な主人公…。うーん…、俺がぶん殴りたい。
…ともかく、当時のジャンプとしては異色ともいえる、非常にポップなラブコメ作品である。主人公とその一家が超能力を使えるというのが良い塩梅にスパイスになっていて、「ご都合主義万歳!」と叫びたくなるような展開で満ち溢れている。
本作は基本的に、連載に合わせてほぼリアルタイムでキャラクターたちも進級していく。つまりこの三角関係は作中でも数年越しの話になるわけだ。そして、最終的には、然るべき形で決着が付くことになる。
ちゃんと「決着をつける」ところがこの漫画のミソだ。恭介もまどかも両思いなのを自覚している以上、ひかるは一人でダマされ続けていたとも言える。数年間、大好きな彼氏と順調に付き合っていたと思ったら、一番信頼していた彼氏と姉貴分がデキていたわけである。その清算が最後にキッチリとつけられるのだ。
最近流行りの『スクールデイズ』だったら、ここで「Nice boat」とかになるんだろうが、本作は良い意味で「青春!」な終わり方をする。切なくも最高のおとし方であろうと思う。ラブコメ好き(の男性)なら一度は見ておくことをオススメしたい。

…ともあれ、私が一番に思うのは、「コミック全18巻中、なんでまなみのエピソードが1話しかないのか」である。この漫画で所謂「妹萌え」を憶えた私としては、最愛の人のエピソードが全然足りないのだ。
俺「妹だ! もっと妹持ってこい!」
妻「あんた、もう妹なんて買ってくるお金はないよ! いい加減にしておくれ!」
俺「うるせぇ! だったらカラダでも売って妹買ってきやがれ!」
そうして妻の躰と引き替えに手に入れた妹を呑みほすと、腹の芯がポッと熱くなり、私の手の震えはひたりと止まるのでした。
…というぐらいに、まなみのエピソードが足りないのである。
少年誌とはいえ、ちょっとくらい道を踏み外してもいいのにな。この世にはそういった需要もあるのだから。

【追記】…1980年代
この漫画は、80年代の空気を触れるのに丁度いい作品だと勝手に思っている。アイドルが流行り、世の中に娯楽が満ちて、若人が各自の愉しみを第一優先に行動する時代、という感じがする。
実際のところそんなにお気楽極楽だったかというとそうでもないのだが、この漫画の作中だけ見ていると、変にスレていない良い時代だな、と思えてくる。単純な話、景気も良かったし。
それと同時に、個人的には「古いモノ」と「新しいモノ」の境界にこの作品を位置づけしている。つまり、これ以前は“レトロ”、これ以後は“今風”みたいな感じで基準にしているところがある。(この作品自体がすでに大分古いモノになってしまったが)
しかし、そこで困ったのが『はだしのゲン』である。
題材的にも絵柄的にも凄く昔の作品のような気がする『はだしのゲン』。しかし、あの漫画、連載を開始したときこそ1973年と古い感じがするが、連載終了したのは1985年と、わりと最近なのである。つまり『きまぐれオレンジ☆ロード』がキャッキャウフフとやっている頃に、まだムスビが元気にヒロポンをキメているのである。
ある種、一つの時代の交錯点として考えると、なんとも趣深いものがある。ギギギ…