おジャ魔女どれみ


【出典】…アニメ おジャ魔女どれみシリーズ(1999-2002) 制作:東映アニメーション

【説明】…東映アニメーション制作のオリジナル魔法少女アニメ
当初は4クールの放送予定だったが小学生の女の子から圧倒的な人気を受けたため、最終的に地上波では4年(16クール)という長期間の放映となり、この枠の大人気アニメとなった。
従来の魔女っ子アニメや変身ヒロイン物とは違い、人間ドラマを多分に織り込んだ非常にレベルの高いシナリオの連作により、魔法少女アニメの最高傑作と言われるようになる。
ストーリー概要は…例によってウィキペディアにお尋ね下さい。

【独断】…泣ける
今時「泣ける」という言い回しは決していい評価の仕方ではないと思う。メディアを問わず、泣かすためだけの骨組みで作ってある作品ってのは結構多い。見ている側もハナから泣き待ち状態で需要と供給が回っているような事はわりとあると思う。
だがしかし、私の場合、決して泣き待ちの状態ではなかったのである。私はおジャ魔女どれみシリーズの本放送が完全に終了した2004年にレンタルで本作を見始めたのだが、何か感動を期待していたわけでもないのに思わず泣かされてしまった。成人男性が不意にアニメで泣かされるというのはそうそうある事ではないと思う。むしろ、私としては、就職活動中の21歳の男が暗い部屋で魔女っ子アニメを見て泣きじゃくるような地獄絵図はなるだけ回避したいと思っていたのだ。
でも泣いた。
誤解のないように言うと、どれみの基本はドタバタコメディである。時折泣かせに掛かっている話がチラホラ出てくるというだけだ。
完全に“子供向け”と銘打たれたアニメって、当たり前だが、わりとゆるーいお約束だけで進行するものが多い。いくら私がオタクだとはいえそういうモノだと2クール見るのも耐えられない。ということは、16クール(+PPV作品1クール+映画二作)も一気に見ることができたどれみって、やっぱり脚本・演出のパワーが凄かったんだろうなと思わせる。
基本的な進行は、魔女見習いであるどれみ達が、魔法を使ってクラスメイト達の悩みを解決したり、仲間みんなでMAHO堂というお店を切り盛りしたり、本物の魔女を目指すために定期的に魔女試験を受けたり、ハナちゃんという魔女の赤ちゃんを育てたり、というような具合。ちなみに自分たちが魔女見習いであるということは堅気の人間にバレてはいけない。
上記のとおり、このアニメ、やることが沢山あるのである。従来の魔女っ子アニメなら、主人公が孤独にお友達を助けながら、クンフーを貯める…みたいな一本調子な展開になるのだが、どれみの場合、舞台が多彩なために飽きが来ない。学校、家庭、魔女の世界、MAHO堂とあちこちでてんやわんやしている。
んで、面白いのは、主人公どれみ達の解決する問題が妙にリアルなところだ。
「お母さんが水商売をやっていてイヤだ」とか、「担任の先生が結婚退職する可能性があってイヤだ」とか、「楽して痩せるにはどうしたらいいの」とか、「不登校の子を学校に来させたい」とか、コミカルな調子ながらも、問題自体は現実色が強い。
主人公格の一人、あいこの家では、お母さんがお父さんの横暴な態度に嫌気がさして離婚していたりする。
このお父さん、4シリーズを経て、最終的に元の嫁さんと再婚するに至るのだが、その過程でどれみたち小学生女児に何度も説教されるというオモシロ具合。しかも一度無職になったり、義父に土下座しに行って追い返されたりと踏んだり蹴ったり。

このアニメで偉いなと思うのは、魔法が解決手段として万能ではないのである。むしろ直接的に魔法で問題を解決するような話はほとんどない。問題の本質を知るための手段であるとか、人に切っ掛けを与えるための手段であるとか、その程度でしか使われることがないのだ。最終的には、人間が自力で解決に向かう。
…まぁ、あいこのダメ親父の話は置いといて。基本的には当然“女の子”なノリのアニメである。
好きな仲間同士で秘密を共有しあって、お店をやったり、赤ちゃんを育ててみたりって、やっぱり女の子がむちゃくちゃ憧れる展開だろう。女の子ってグループで何かやるの好きだしな、本当に。
それに象徴されるのが、シリーズ3作目『も〜っと!おジャ魔女どれみ』のOPテーマ「おジャ魔女でBAN×2」の歌詞である。
「あとは誰も誘わないね 5人寄ればゴキゲン ドキドキする?ワクワクする? 私たちの時間よ」とある。
うーむ、別にこの歌詞に排他的な意図があるわけではないんだろうが…。「あとは誰も誘わないね」か。
思い返せば、小学生時代、妙に堅牢な女の子のグループってあったなー。
リアルでは、そういうのって結構鬱陶しかったなぁ。「私たちがクラスの和をつくっている」くらいのこと思ってる女子グループいたもの。「Tくん、○○ちゃんにちゃんと謝りなさいよ!」とか、人の問題にいきなり首突っ込んできたりさ。うぜぇぇええええええぇぇ。
…話がズレた。
とにかく、全編に渡って非常に良い出来の作品である。アニメ嫌いでなければ見た方がいいと言っても差し支えないほどのものだと思う。むしろ普段あまりアニメを見ない人に見て欲しいとか思ってしまうのは、オタク特有の悪癖だろうか…。
いや、でも、本当に話も絵も音楽の雰囲気もいいのよ。小物まで凝ってるし。
二十歳でようやく物心が付いた私としては、この作品は情操教育のバイブルにまでなっている。それはそれで問題だけどな。
小学生女児が大好きな人にはオススメ。

おジャ魔女どれみドッカ~ン! DVD-BOX

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