ゲッサン9月号


【出典】…雑誌 小学館 ゲッサン9月号
 
【説明】…小学館が発行する日本の月刊少年漫画雑誌
2009年8月12日発売。創刊第4号。ターゲットは中高生以上を中心として幅広い年齢層としている。
キャッチコピーは「漫画力絶対主義」。また「男の子が自立するために絶対必要なふたつのキーワード」としてアイデンティティー「愛と勇気」を掲げている。
 
【独断】…いきなり正念場
みんな大好き! ゲッサ〜ン!!
ほらほら、モニターの前のみんなも一緒に〜…せーのぉ…ゲッサ〜ン!!
…どうしたぁ、声が小さいぞぉ。あんまりみんな読んでいないのかなぁ〜?
ほら、もう一度いくよぉ! せ〜のっ! グッサ〜ン!!!

 
ゲッサンの話題を出すとなぜか非常にテンションが落ちるので、無理矢理盛り上げてみた…。逆効果だった。
 
さっき知ったんだが、小学館は近いうちに「月刊スピリッツ」なるものまで創刊する予定なんだとか(2009.08.27に創刊号発売)。
う〜ん、凄いなぁ。一体どういう事だ。多分、小学館社内は今燃え上がっているんだろう。大炎上だ。
真面目な話、色々な作家さんを受け入れる(そして雇い続ける)土壌を作っていけば、人材の流出は防げるし、あわよくばキチンとヒット作を供給できたりするわけで、「マンガ」という事業そのものに大企業小学館が本気になってるということなんだろう。多分。
高橋しん先生や北崎拓先生など、すでに固定客の付いている作家先生も当然席を連ねているわけで、仮に雑誌の売り上げはボチボチでも、単行本でソコソコには稼げたりするんだろうし、案外硬い商売なのかも知れない。…『12人の優しい殺し屋』とか持ってくるあたり、間口も異様に広い。
飽和状態の“人気作家”や“人気コンテンツ”を、会社ぐるみでフル活用するつもりなんだろか。
 
しかしまぁ、単純な問題として、どうしても内輪で人材はバラけるわけで、そうポンポンと創刊していけば一誌あたりの内容は薄まってしまうはずである。(少なくとも短期・中期的には)
創刊されたばかりだというのに、いなたい雰囲気に充ち満ちているゲッサンにも、もうちょっと力を割いて欲しいところだ。
特にゲッサンで描いてる中堅作家陣にはもっとゲッサンハオモシロイデス]
 
そんな、みんなが大好きなゲッサン
今月も気になる作品を個別にげげら。
あらすじ等の具体的な作品紹介は省くので、よろしければ本誌を実際に読んで頂きたいです。はい。
 

『QあんどA』あだち充
幽霊共存型青春ラブコメディマンガ。
話は全然進まない。とはいえ、元々あんまハイペースな展開を期待する作品でもないっぽい。古くさい言い方だが、空気感を愉しむ感じだろうか。
というわけで、まだ様子見である。様子見がずっと続いてしまっても困るが、今は高校野球の季節なので、あだち先生も連載どころではないのだろうと思う。
 

『アサギロ 〜浅葱狼〜』…ヒラマツ・ミノル
沖田総司マンガ。
近藤勇が不意の登場! さあどうなる!
とはいえ月産26ページの本作品、あまりゆっくりしすぎていると、年内に真剣での斬り合いは見られないぞ!
ヒラマツ・ミノル先生に応援のお便りと強壮薬グレートを!
 

ハレルヤオーバードライブ!高田康太郎
ハイスクールバンドラブストーリーマンガ。
連載開始時はなんとなく「ポップなマンガだなぁ」くらにしか思っていなかったのだが、他の掲載作品がわりと泥臭いものが多いので(失礼)、結果的に雑誌の清涼剤として重要なポストに収まっている。
明るくイヤミもなく、丁寧にバンドと学園の様子が描かれている。演出もえらくキレイで魅入ってしまう。
心が薄汚れている人、ロクな青春を送ってこなかった人は、このマンガを見て高校生活を一緒にやり直そう。
私も色々な作品で高校生活をやり直している最中なので、なかなか大変である。恋にバンドに野球にシャドウ退治と、毎日がてんやわんやだ。
 

アオイホノオ島本和彦
漫画家志望者マンガ。
青春時代の湿気った情熱を愉しむ作品。面白いし、勉強にもなるが、作品のテーマ的に微妙に説教臭くなる感じは否めない。
ギャグっぽい箇所をもうちょっと増やしてくれたら嬉しい。
 

リンドバーグアントンシク
大空恐竜マンガ。
「話はどうでもいい」と言い続けて数ヶ月、にわかに話も興味深くなってきた! ような気がする。
言わずもがな、絵は本当にステキ。
早くニット(主人公)が冒険に出てくれないものかと思う。でも、まだ地元で色々ありそうだ。
家族など捨てろニット! 忍に里心など無用だニット!
 

ここが噂のエル・パラシオあおやぎ孝夫
萌え萌えハーレム女子プロレスマンガ。
このマンガのページを増やして欲しい。本当に。『アサギロ』も『エル・パラシオ』も倍くらいで丁度良いペースなんだよな。
あおやぎ先生の1日の平均歩数は1030歩だそうだが…、歩きすぎである。30歩くらいで良いだろう。トイレと寝床と仕事机を行き来するだけでイナフだ。風呂も許さん。
漫画家が逃げようとしたら乗馬鞭でしばくのが編集者の務めだと思う。1000歩も歩かせるとは、ゲッサン編集部の怠慢が目立つ。
ヒナちゃん頑張れ!
 

『No.1海童』…鳴海アミヤ
No.1青春バスケットボールマンガ。
悔しいが、認めざるを得ない。私はこのマンガが大好きだ。
無意味な例えだが、この作品が仮にジャンプで連載されていたら、「子供たちの間で話題になるもアンケートが全く振るわずに短期打ち切り」とかって感じになるんだろうな。私はこういう作品をそのまま見ていたい。
息切れしたり、本当にヤケっぱちになったらそれはそれで一向に構わない! その時は連載が終わるだけだ!(他人事)
駆け抜けろ! 海童凱!
 

『イボンヌと遊ぼう!』…荒井智之
天才少女教師ゆるギャグマンガ
ゲッサンのなごみ担当。
カラーページのイボンヌが思いのほか可愛かった。
 

マコトの王者 〜REAL DEAL CHAMPION〜』福井あしび
人格入れ替わりボクサーズ・ロードマンガ。
昔のコロコロコミックっぽい絵と、突飛なストーリーでわりと倦厭していた作品なのだが、ちゃんと読んでみたら結構面白かった。
しかし、味はこのままに、絵はもうちょっと丁寧な感じにならないものか。
みんなで福井先生の股間を鷲掴みにしよう!
 

『仕事場見たいし!』横山裕二
ゲッサン連載漫画家紹介マンガ。
画像の『いつかおまえとジルバを』も、同じく横山先生の作品で、同誌で絶賛連載中だが、ここでは、おまけページ的に毎号1ページ載っている『仕事場見たいし!』を取り上げたい。
で、いきなりなんだが、一刻も早くこの連載を止めるべきだと思う。
いや、面白いのだが、「漫画家の先生ってロクなのがいない…」ということを、大々的に世に知らしめているようなものである。
一応ゲッサンは「少年誌」だ。あんなものを子供が見たら泣く。(特に『楽神王』の吉田先生)
リアル漫画家は得てして子供の夢を奪う。時間は夢を裏切らない。夢も時間を(略
 
…というわけで、『あずまんが大王・補習編』が終了してから発売された最初のゲッサンである。
ネット上では、「あずまんがが終わったら、もうゲッサンは読まない」といったド直球の意見もチラホラ目にした。
私は、「『あずまんが大王』は単行本で何度も何度も読み返してしまうものであって、一回一回の掲載を心待ちにする作品ともちょっと違うよな」と思っていた。元々の掲載ページも少ないし、短期連載だと分かっているものが終了しても、実際にはそれほどの影響は出ないのではないかと考えていたのだ。
…が、これが大間違いだった。
いや、勿論、現時点で売り上げの変動など知るよしもないのだが、それ以前に雑誌の雰囲気が大きく違う。
誰もが確実に目を通し、間違いなく「面白い」と思える作品、それが一つスポンと抜けると、雑誌全体の“しまり”が全然違ってしまうのである。
「意外と影響少ないんじゃないか」と考えていた私でも、ちょっとビックリするくらいそれを痛感したんで、『あずまんが大王』目当てだった人がどこまで残ってくれるやら心配である…。(余計なお世話)
 
暗い話を抜きにすると、「ルーキー」の先生方の作品が結構面白いので、読者がこれから一緒になって雑誌を盛り上げていくような雰囲気もできつつある。…と、勝手に感じている。
悪くはない! 悪くはないぞゲッサン
YAOIものとスポーツものはちょっと手薄だけど、みなさんにも是非読んで欲しい。
 
びっくりしたのが、9月号が発売してから丸2日経っている今現在(2009.08.14.16:00)、はてなダイアリーで「ゲッサン9月号」に関して触れている人が、私以外に全くいないのである。
みんなが9月号に関してどんな感想を抱いたのか知りたくて、はてなキーワードの「ゲッサン」をクリックしてみたのだが、ものの見事に誰もいやしない。(作品個別には記事があるかも知れない)
やっぱり『あずまんが大王』の有無はでかすぎたのか。先月まで結構あちこちでエントリーが書かれていたはずなのだが…。
 
…まぁいい、約束通り(?)半年は「ゲッサン」のエントリーを書いてみせるさ。
最後くらいはみんな一緒に行くぜ?
せ〜のっ! ゲッサ〜ン!!
 
…俺一人かい!
 
おわり

ゲッサン 2009年 09月号 [雑誌]

ゲッサン 2009年 09月号 [雑誌]