天草テレビ


【ネタ】…テレビ テレビ番組 天草テレビ(2001-) 制作・著作:天草テレビ
 
【説明】…熊本県天草諸島を拠点とするインターネット放送局およびその放送番組
女子アナに地元のお年寄りを採用するなど一風変わった番組製作を行っている。
九州ウェブサイト大賞2006優秀賞、東久邇宮記念賞受賞。
 
 
【独断】…悪ふざけ
新年明けましておめでとうございます。
まずはこちらをご覧下さい。
 
天草テレビ紹介ビデオ

 
九州は熊本県天草市を拠点とするインターネット放送局「天草テレビ」。その天草テレビの紹介ビデオである。
熊本県は県のPRキャラクターである「くまモン」がゆるキャラグランプリ2011王者に輝き、現在そのくまモン人気の勢いを使って県のPRをしようと躍起である。くまモンファンの一人である私もYouTubeで毎日くまモンの動画を漁っていて、そこで偶然この天草テレビの話題を見掛けたというわけだ。

『ネッキーとあそぼう わんぱく☆パラダイス』を始めとして、インターネット放送局やローカル局などには一風変わった番組が製作されていることがしばしばあるが、この天草テレビも独自の路線を展開していてなかなか面白い。
 
まずやはり目を惹くのは女子アナだろう。
地元のおばあちゃんを女性アナウンサーとして起用するというのは面白くて親しみやすくて良いアイデアだとは思うが、それが一人だけとかではなく全員おばあちゃんだから凄い。進行はちゃんとした現役プロアナウンサーで固めて、その中に名物おばあちゃんが混じって番組が構成されている…というわけではなく、最初から最後までおばあちゃんしか出てこない。
実際それが話題になったわけだが、何か味を占めてしまったのか、天草テレビは次々と高齢の女性をハントし、現在では局の女子アナの平均年齢は92.2歳にまでなっている。熟女好きのウド鈴木にとってはギルガメッシュナイトばりのエロ番組である。
 
なんでこんなことになってしまったのか。初代女子アナであるアヤちゃんを起用した経緯が天草テレビの公式サイトに書いてあった。

もともとこの島には、シャネルスーツでビシッと決めた、女性ジャーナリストなどいるはずもなく、(^^;
またそんな人を招聘するほどの、予算もありません。ハイ。
 
しかし、しかしですぞ、 天草島独自の文化(Way of life:生活様式 )を世界に向けて発信するという局のコンセプトからして、妥協は許されず、また他局の追従を許さない(?)人事とはいったいなんぞや?
ということで、 (前置きが長かった)ついに白羽の矢があの人に、、。その人は、
 
広田アヤちゃん(85歳)です。
もちろん天草弁は堪能で、自由自在(?)です。

まさか地元への卑下から入るとは思わなかった。
天草にだって頭が良くて綺麗で滑舌の良い若い娘さんだっているだろうに。
しかし、とにかくこのおばあちゃん軍団のインパクトが強く、天草テレビは全国誌でもしばしば取り上げられ、海外メディアからも多数の取材を受けている。
 
私も上記動画の女子アナ紹介で「アヤちゃん享年85歳!」って元気に言われてグッときてしまった。
人の死を茶化しているわけではなくて*1、「生涯現役で最後まで楽しく」ってこういう事だよなーと思うのである。女子アナの皆さんが楽しそうでイイ。
うちの父親なんかは頭の固い公務員だったので、こういうのを見ると「お年寄りに対する侮辱だ」とか言いそうだけど、私はこれに関しては本人たちがノリノリで単純にいいなーと思うのだ。
 
シノちゃんは2012年2月現在108歳で現役です。自己紹介の時に「毛利シノ」と言っているように聞こえますが「森シノ」さんです。
 
さて、肝心の番組内容なのだが…
 
…私もまだ本編を見ていないのでよくわかりません!すみません!
いや、エントリーとして取り上げるからにはきちんと見ておけよという指摘はごもっともだが、私が住む東京から1300kmも離れた熊本のご当地ニュースを有料*2で見るのはやっぱちょっと腰が退けるというか…
…わかったよ、今度マジで見てみるよ。
とりあえず今のところ上記の紹介ビデオのインパクトに打ちのめされている次第だ。
 
紹介ビデオの最初に天草の雄大な自然と観光旅館の展望などが映し出されるのだが、なぜか「癒し」という文字が2回も出てくる。そういう細かい“なんで?”が好事家の心をくすぐる。癒しを強調したい天草テレビ。
「港でジュゴンが発見されて大騒ぎ」といういかにも和やかなローカルニュースの最後に、「ジュゴン北上、地球温暖化に警鐘」と取って付けたようなでかいテーマを持ち出したり、一々鯔背なところを見せてくれる。
 [
さり気なく「世界大会」と無闇にでかい括りにしているビーチドッジボール大会。貰えるたこ焼きが美味しそうだ。
 
で、おばあちゃんがロケしたりご意見言ったりする番組だから、終始和やかな内容なのかな…と思ったら全然そんな事もなくて、意外とシリアスに社会派なテーマをぶち込んできたりする。
市町村合併の影響をモロに受けた天草市の税金問題を憂慮したり、交付金を使った箱物事業により史跡が壊されることへの苦言を呈したりと、かなり攻めた内容だ。
特に女子アナ・ツルちゃんのアタッカーぶりは凄まじく、往年のマラドーナの如くなんかもう手の付けられない切り込みを見せる。
箱物事業で天草の史跡を壊す安田公寛市長を「タリバンポルポトに違わんた!」と断罪し、「末代まで祟るばい!」と締めくくっている。「祟るばい!」で締めるコラムなんて前代未聞である。
 
くまモンを通じて熊本県に興味を抱いているそこのあなた、是非とも天草テレビをチェックして、エキセントリックな天草のおばあちゃん達の魅力にも触れて欲しい。
くまモンが登場する番組もあるらしいぞ!
年会費3150円! 安かよ〜。
 
おわり。

キャラクターカードスリーブ くまモン (イエロー)

キャラクターカードスリーブ くまモン (イエロー)

 
【追記】…実は本当にすごい
この番組(局)、当時総理大臣だった麻生太郎氏や、新党日本代表の田中康夫氏をゲストに呼んだりして、本当に気合い入った内容だったりします。

 
おしまい。

*1:いや、どうだろう

*2:年間3150円で天草テレビの全番組を見られます

空手超バカ一代


【ネタ】…エッセイ 空手超バカ一代(2009.6) 著:石井和義 文藝春秋
 
【説明】…格闘技イベント「K-1」の生みの親・石井和義氏が自身の半生を綴った自伝
フルコンタクト空手団体「正道会館」の館長であり、立ち技格闘技イベント「K-1」の創始者でもある石井和義氏が、法人税法違反および証拠隠滅教唆により服役していた2007年6月から2008年8月の間に書き綴った自伝。
刑務所の中から信書という形で友人や部下に送っていたものを整理して再構成した本。
今回は格闘技ファンでないとわからない部分もあるかと思います…。
 
【独断】…「私はいいケツをしている」石井和義
今年、2011年はK-1 WORLD GPが行われない年となった。
1993年から始まったK-1 WORLD GPが、18年目にして初めてその歴史に穴を開けることとなってしまった。原因は主催会社FEGの財政難。ギャラの不払いが次々に発覚し選手の流出を招いた。一格闘技ファンとして非常に残念である。
K-1の功罪に関して掘り下げられるほど詳しくはないけれど、その存在意義の大きさは漠然と分かる。立ち技格闘技のビッグタイトルであり、世界でも希有な専業格闘家を生み出す舞台でもあったK-1。その灯が一時的にでも消えるというのは、プロ格闘家・プロ格闘家志望者たちの夢が静かに打ち砕かれてしまったということでもある。
世界的に長らく続いていた格闘技の“ブーム”も去り、格闘技イベントのあり方は今後より難しくなっていくのだろうと思われる。
 
これといってボケもなく始まりましたが、終始こんなんです。
今回ご紹介するのはそのK-1の生みの親である石井和義氏の自伝『空手超バカ一代』。
貧乏だった子供の頃の話から、空手の稽古に明け暮れていた10代の頃の話、サラリーマンを辞めて師である芦原英幸氏に付き従い専業空手家になったときの話、その芦原氏との決別、正道会館K-1を盛り上げていったときの苦労話、服役生活の話、昨今の日本社会に思うこと、等々が石井節(何それ)で綴られている。
脱税と証拠隠滅教唆の服役中に執筆されたもので、信書として知人達に送っていたものを再構成し本としてまとめてある。
 
服役中に書かれたというと週刊誌的な暴露話を期待しがちだが、これといってセンセーショナルな話題はない。わりと普通に自身の半生と思うことなんかが書かれている。K-1関連の濃い話を期待した人からすると物足りないかもしれない。
また、書かれているエピソードも「どうやって」とか「どういう経緯で」とか、そういう具体的なところが中抜けしている感が否めない。出来事の結果とそれに対する石井氏の考え・思いが散発的に書いてある印象で、正直、そんな掘り下げた内容ではない*1
ただ、「石井氏が極真空手の祖・大山倍達氏や、極真から独立した芦原英幸氏をどう思っているのかが分かる」…という意味でこの本の価値はある。
特に直接の師であった芦原氏とのやり取りは、この本に記載されたエピソードの中ではハショリも少なくドラマチックに描かれている(あくまで石井氏目線)。極真芦原道場時代と芦原氏との決別は個人的には興味深い内容だった。
 
「石井氏は元々極真会館所属だった」と言うと、若い格闘技ファンの中には「え!?そうなの!?」と驚く人もたまにいるが、凄く乱暴なことを言えば有名なフルコンタクト系の空手団体の創始者は大体は極真会館の出身である。
これは「極真は人材がもの凄く豊富!」ということもあるのだろうが、言い換えれば発展しつつも分裂を繰り返しているわけで、組織運営の面で問題があるのは否定できない。
金銭、組織運営の考え方、技術追求の方向性、プロ興行への参加の是非、人間関係、組織での立場…等々、様々な理由で“独立”が繰り返される。
極真黎明期の名指導者・名選手たちはもはやそのほとんどが自分で団体を起ち上げ大元の極真会館には所属していない。
大山茂(国際大山空手)、中村忠(誠道塾)、加藤重夫(藤ジム*2)、山崎照朝(逆真会館)、廬山初男(極真館)、添野義二(士道館)、佐藤勝昭(佐藤塾)、東孝大道塾)、二宮城光(円心会館)、皆それぞれに自分の団体を持っている。…真樹日佐夫先生に至ってはもう何をやっているんだかさっぱりわからない。
 
で、件の石井氏は、元々は高校生の頃に極真会館四国支部芦原道場に入門したのである。
そこで師である芦原英幸氏と出会い空手修行に励む。社会人になり、普通に会社勤めをしながら稽古も続けていたのだが、ある日芦原氏から道場経営を半ば強制的に任されることになる。稼ぎの良かった仕事も辞め、なんの当てもないまま大阪に飛ばされてしまう。しかし「男が一度決めたら!」と奮起し、そこで道場を開き生徒を激増させる。そしてそのまま事実上極真関西地区総責任者になってしまう…というわけだ。
なんたる超有能ぶり。
しかし関西地区総責任者といっても、増やした道場生たちはあくまで「芦原道場」の道場生なので自分の懐には一銭も入ってこない。入ってくるのは素渡し固定給の11万だけ。ぶっちゃけ死ぬ。徒弟制度の世界には労基なんて存在しない。
 
「ケンカ十段」の異名で『空手バカ一代』にも登場し、全国にその名を轟かせていた芦原英幸氏。
本書によると芦原氏はガキ大将がそのまま大人になったような感じで、かなりむちゃくちゃな人だったらしい。
親方である極真会館にどれほどの割合でお金を入れていたのかはわからないが、大阪を任せた石井氏から毎月大金が送られてくるようになった芦原氏は、四国の本部道場に空手とは切り離したスポーツクラブを建てたり、空手の宗教法人化を考えたり、かなり好き勝手やっていたようである。
しかし、どれだけ道場を拡大させようが石井氏の給料は変わらなかった。
日々貯金を切り崩し、もはや生活ができなくなってきた石井氏はついに給料アップの交渉に踏み切る。芦原氏は1万円だけ給料アップを約束し話を濁すが、その直後周りの指導員たちに「石井はカネのことを言い始めた!あいつは危ない。これからはお前達が関西を運営していけ」と言って回ったそうだ。
 
結局それが決定打となり、石井氏は芦原道場と袂を分かつこととなる。
この直後に石井氏は正道館(現・正道会館)を、芦原氏は極真を離脱し芦原会館を設立させる。共に1980年のことだ。
当時の具体的な人の流れは関係者でないと分からないところだろうが、関西の道場生は石井に付いて、四国の道場生は芦原に付いてという感じだったのだろうか? あるいは直接の先輩後輩・師弟関係によってどちらかに付かざるを得なかったという道場生もいただろう。極真門下でありたいと思った道場生は一度辞めざるを得なかったかも知れない。このとき関係者は大混乱だったはずだ。
ともあれ、ここから正道は怒濤の勢いで勢力を伸ばし、世界的な格闘技イベント「K-1」を起ち上げるに至る*3
 
極真を離脱したアンディ・フグ正道会館が受け入れて彼をスター選手として売り出した際に、大山倍達氏が「石井くんのような才能はうちにも欲しかった」と言っていたそうだ。以前、そんな記事を格闘技雑誌か何かで見掛けたことがある。
「これだ!」と思った時の嗅覚と行動力・決断力が半端ではないのだろう。その後アンディはK-1を象徴する選手として格闘技ファンのみならず世間一般にも知られる超有名選手となった。
道場経営に関してもイベントの企画に関しても、石井氏は相当なやり手であったことは間違いない。だって、芦原氏と別れてその後極真にも所属せずしっかり独立して独自路線で大イベント起こそうってんだから、元々野心も十二分にあったのではないかと思う。
バイタリティに溢れ、目的を達成するためにはどんなことでもしそうな感じはする。
 
実際この自伝でも、「え?それって結構問題なんじゃないの?」って話があまり悪びれもせずにツラツラと書いてある。
たとえば、ボクシングに本格転向しようとしていたジェロム・レ・バンナドン・キングから取り返す話では、バンナの負けシーンを集めたPVを作ってネガキャンによって手放させるのだが、これってバンナからすればエガちゃんポーズで「お前ぇ!ふっざけんなよ!」と喚き散らしてもおかしくない話である。
いや、実際そういう手を使う・使ったにしても、おおっぴらに言うもんなのかなと思う。
他には、K-1創成期に事実上一人で事務を取り仕切っていた石井氏は、チケットぴあの営業マンに配券をやらせた上に売り上げ報告書まで作成させたりしていたそうだ。さらに格闘技通信などの雑誌記者に選手のデータと写真を渡してポスターやパンフレットを作らせていたとか。
チケットの配券に関してはそれも営業の一部かなとも思うが、後者が問題だ。専門誌が一興行の運営に直接関与(というか直の広報)するってのは今更ながらジャーナリズムの体裁もクソもない話である。
…というか多分そんなことに一々こだわっていたら出来る仕事ではないんだろう。
 
自身の刑に関しても、「申し訳ありませんでした!」と冒頭では書いているものの、本編を読んでいるとそれに関して「ツイていなかった」とぽつぽつ繰り返していたりと、今一つ煮え切っていないところがうかがえる。さすがである。
たまたま私の知り合いにこの件に関して非常に詳しい人がいて、石井氏が「ツイていなかった」と言う理由の一端はわかったのだが、それにしたって明らかに納得していない様子が文面にもにじみ出ていて、良くも悪くもパワフルな人柄なんだろうなと思った。
 
今年はK-1 GPが行われないが、それに関して多分この世で一番「ちっくしょー!」と思っているのは石井氏だろう。
2012年は新体制を作りK-1の復活を計るんだそうだ。上手くいって欲しいと思う。
この先K-1が見事な復活を果たすのか、規模を大幅縮小し細々と続けていくのか、はたまた完全消滅するのか…それは判らないが、往年のK-1ファンは今だからこそ今後どんな動きがあるのか注目して欲しい。
そのための予習本として本書を手に取ってみるのはいかがだろうか。
『きむころ*4』とは比べるべくもないが、これはこれで面白いぞ。
 
おわり

空手超バカ一代 (Bunshun Paperbacks)

空手超バカ一代 (Bunshun Paperbacks)

*1:“マジで書けない話”が相当に多い業界だろうし、まだ立場のある状態でわざわざ自分から書くはずもないのだが

*2:組織は別だが極真会館とは友好関係にある

*3:ここいら辺の具体的な話がかなりハショられてて不満。周囲の人間の活躍とかが書かれていない

*4:木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

「サンリオピューロランドに行ってきたよ」のコーナー その1


【ネタ】…テーマパーク サンリオピューロランド(1990-)
 
【説明】…サンリオピューロランドに行ってきた際のオモシロエピソードを募集するコーナー

 
【独断】…二ヶ月前のことを思い出しながら書き綴るエントリー
二ヶ月以上ブログに触れていなかった。
ブログの存在を忘れていたわけではなくずっと書こう書こうとは思っていたのだけれど、一週間くらいアクセスしなくなるとなんとなくアクセスしづらい気分になり(コメントとか書いてあったら怖いし)、二週間も経つといよいよ自分のブログが遠い存在に感じられて、一月もすると完全に恐怖の対象になってしまったのである。
この気持ち、何か身に覚えがあるなと思ったら、不登校時代の学校に対するそれと酷似してる。
いやー、一度行かなくなるともう怖くて怖くて仕方がなくなってくるんだよね。
「T-260Gくん、一緒に学校に行こうよ!」
「とりあえず、席に座っているだけでいいから学校に来なさい」
「なんでお前は普通に学校行くだけのことができないの!」



 
はい、今回はそんな子供の頃の楽しい思い出が甦ってくるステキなテーマパーク、『サンリオピューロランド』のご紹介です。
 
東京にあるキャラクターテーマパークといえばやはりサンリオピューロランドだろう。
ディズニーランドは千葉だし、ナンジャタウンテニスの王子様アイドルマスターなど外様のキャラクターに支配されてごった煮状態だ*1サンリオピューロランドは20年に渡って堅実に、それでいてエキサイティングに東京の地で夢を振りまいてきた。
私も東京に生まれ育って28年、ずっと気になっていた施設である。
昔、アルバイトでピューロランドがある多摩センターをずっと行き来していて、毎日その外堀をくたびれきった目で眺めつつ、一度は行ってみたいなーと思っていた。今回、ふと思い立って、その10年来の悲願を果たしに行ってきたわけである。
 
魔王殿といえばアラケス、死者の宮殿といえばブラックモア…と、有名な施設には顔になるキャラクターがいるものだ。
サンリオピューロランドの顔といえば、そう、言わずと知れたハローキティだ。
日本の皆さん、特に現在の30歳未満の若い世代にとって、キティちゃんは物心付いたときから身近にいる超メジャーなお馴染みのキャラクターであろう。
というか余りにも身近過ぎて逆に嘗めてしまっているところがないだろうか。「なんとなく色んな物にプリントされているキャラ」ってくらいの認識なのではないだろうか。ドリームキャストとコラボしたダサイやつとか思っていないだろうか。
 
嘗めるんじゃないって!越中詩郎
 
ハローキティは日本のみんなの友達であるとともに、世界中で最も愛されているポップキャラクターの一人なのだ!

グッズは2009年時点で世界約70カ国で展開され、年間5万種類が販売されており、日本国外にもファンが存在する。
著名人ではマイリー・サイラスヒルトン姉妹キャメロン・ディアスマライア・キャリーリサ・ローブブリトニー・スピアーズクリスティーナ・アギレラレディー・ガガレオナ・ルイス等がキティファンとして知られる。
日本国外では日本のポップカルチャーの代表的存在の一つとして認識されている。
レディー・ガガは、キティのリボンにちなんだヘアスタイルを披露した。
 
Wikipediaハローキティ」より

 
どないや。
かわいいは正義」を地で行き、世界にその名を轟かせたキティちゃん。
何か原作となる物語があったわけでもない、無から作り上げたキャラクターが世界中のみんなに愛されていくというのは本当に凄いことだと思う。
セレブ間だけでの海外人気ではなく、当然のこと一般のファンも海外には沢山いる。サンリオショップは世界各地にあり、当地の女の子たちが至極普通にキティグッズを使用していたりするらしい*2
 
さて、そんなキティちゃんのスペックを改めて確認してみよう。

本名:キティ・ホワイト
生年月日:1974年11月1日(日付は初代デザイナー、清水侑子の誕生日に由来。)
出身地:ロンドン郊外(誕生当時、日本の若い女性の憧れの地でロンドンが上位だったため。)
身長:りんご5こ分(ロンドン産)
体重:りんご3こ分(ロンドン産)
血液型:A型(日本人で最も多い血液型のため)
好きな食べ物:ママの作ったアップルパイ
 
Wikipediaハローキティ」より

 
なるほど。
キティちゃんの身長体重がリンゴ(ロンドン産)換算なのは有名だろう。
最近自分の体重が気になる貴方も、体重を聞かれたらリンゴ(ロンドン産)換算で答えればファンシーに誤魔化せる。なお、このリンゴ(ロンドン産)は1個あたり2.2ポンド(約1kg)という設定。かなり重い。50kgの人なら「私の体重はリンゴ50個分です」と答えることになる。
ちなみにキティちゃんと同じ生年の有名人はミルコ・クロコップ室伏広治、昭英などがいる。ミルコや室伏は大体リンゴ100個分の体重だ。

 
企業やアーティストと大々的なコラボをし、観光大使・親善大使を歴任し、記念ユーロ硬貨にまでなり、ビル・ゲイツからの買収話を蹴り飛ばしている大女傑キティちゃん…
ウィキペディアに箇条書きしてあった内容を見ているだけでも凄まじく凄いスーパーキャットである。
私も東京多摩地区に住んでいてこれまでご挨拶に伺わなかったのは大変失礼であった。東東京の守り神が平将門ならば、西東京の守り神はやはりキティのホワイトであろう。
 
ご託が長くなった。そんなわけでさっそくサンリオ・ピューロランドがある多摩センターへレッツゴー。
多摩センター駅に着いてみると、おお…なんか道がステキだ。
私がアルバイト時代に通っていたのはピューロランドの外周だったので分からなかったのだが、多摩センター駅からピューロランドまでのメイン通りはレンガが敷き詰めてあって、建物や街路灯もお洒落に造られている。それほど長い通りではないが結構いい雰囲気だ。ピューロランドから一歩外に出たら野暮ったい繁華街…なんてことはなく、行き帰りの道でも雰囲気に浸れる。
いきなり中々良いではないか。
 
しばらく歩くと洋風の城のような外観をしたピューロランドが見えてくる。うーん、さすが、入場口はゴージャスに造ってある。
入り口横のチケット売り場で「15時からは入場料1000円」というキャンペーン価格でチケットを購入した*3
正直、よくよく見てみるとチケット売り場も施設のつくりもややチープだなと感じるところはある。チケット販売はファンシーな格好をしたお姉さんが対応してくれるのだが、カウンターにチケットの日付はんこの跡が大量にあって、なんか「昭和の事務室」という印象を受けてしまった。

 
入場するとドレスアップしたキティちゃんがお出迎えしてくれる。入った瞬間からいい塩梅にファンシーでステキな感じ。
中は予想通り女児だらけではあるのだが、ちらほら男性もいた。そりゃそうか。家族連れならお父さんも一緒に来ているわけだし、デートで来ているカップルも少なくない。思ったより私の存在が異物ってわけでもないようで安心した。
しかし、ピューロランドの予備知識が全くないまま思いつきで来てしまったので、どこから巡っていけばいいのかわからない。
ここは一度、入り口でもらったパンフレットを読みながらカフェで作戦を立てよう。ってことで、4Fにある「ドリームカフェ」へ。シナモン(キャラクター)のスイーツとかがあるらしい。
 
カフェに行ってみると…さすがの休日、レジに人が並んでいる。
まぁしかし、コミケ壁サークルの数十分の一程度の行列だ。私にとってこの程度の行列を待つことなど造作もない。ショーケースにあるスイーツを眺めながら頼む物を決めていればあっという間に自分の番であろう。
…と思いきや、これが列が全然進まない。何を注文するのか迷っているお客さんがいる…とかそういうわけではなく、単純にスタッフが不慣れで人手が少なかったのだ。
ファンシーな格好をしたお姉様方がテンパりながら(それでいてゆっくりと)注文をこなす。むしろそれを見て手伝いたくなってしまったが、私があのファンシーな格好をしたら『HUNTER×HUNTER』のビスケが本気を出したときみたいになってしまうので、客の女児どもの心に深い傷を付けることになる。ここはじっと堪えた。
そんなわけで些か待ちはしたものの、無事に購入。出てきたスイーツはちゃんと美味しかった。
頼んだのはシナモンロールとキティちゃん大福とハロウィン限定かぼちゃプリン。どれもただの“キャラ物”って感じではなく、スイーツとして本当にちゃんとしている。がっかり感みたいなもんがない。美味しいです。キティちゃん大福はまんまキティちゃんの顔面を食べる形になるけど…

 
かぼちゃプリンをまったりおじゃると食べながら作戦決定。
とにかくここに来た以上一番しなければならないことは、キティちゃんの家に行く、コレである。
ピューロランド内には「キティズハウス」というそのまんまの名前でキティちゃんのお家があるらしく、ここではなんと生のキティちゃんと一緒に記念撮影ができるとのこと。これはいわば参拝だ。
他のアトラクションはともかくこれだけは逃してはなるまい。『帝都物語』の特典映像ではなぜか巫女さんの格好した女の人が平将門塚で五芒星を切っていたが、私もキティちゃんを前に五芒星をえいやっと切りたい。
 
と、その前に、カフェのある4Fには「Vivitix」というサンリオショップもあるので、そちらを先にチェックしてみよう。
ピューロランド内にはいくつかのショップがあるのだがこのVivitixに置いてあるのは比較的大人向けの商品らしい。お店の外観からして黒を基調として大人っぽく格好いい趣になっている。ハンカチ、タオル、食器といった基本的なところもあるが、バッグやポーチ、アクセサリーなどのファッション的なサムシングが数多く並んでいる。中には下着まで…ッ!
本当は色んな商品の写真でも撮って帰りたかったのだが、アトラクションとは違い、キャラクターショップの中を男が彷徨いているのはかなり目立つ。ここで下着を着たマネキンを撮影し出した日には、店の奥からジェラルド・ゴルドーみたいなバウンサーが出てきて即座に取り押さえられること間違いない。
結局日和って大根おろしだけ撮影した。

 
そんなこんなでキティズハウスへ。
キティちゃんの家の中が客でごった返さないよう、入り口で時間差を設けて入場する模様。行列の最後尾に並び20〜30分待つことに。その間、キティちゃんちの外観をじっと眺めることになる。
基本的にいい塩梅にファンシーでステキなお家なのだが…よく見るとこの家の外壁、キティちゃんの顔がいくつも掘ってある。
…猫面瘡?
自分の家に自分の顔面をいくつも彫り込むってなかなか乙な趣味だと思う。いや、いいんだ。キティちゃんは可愛いから許される。

 
いよいよ玄関口に着くと、スタッフのお姉さんから「500円で風船を買ってそれをキティちゃんに渡さないか」と持ちかけられる。
スタッフが売りつけた物をキャラクターに渡すとかすげー商売もあったもんだな…ってわけじゃなく、どうもその風船をキティちゃんに渡すとキティちゃんから何かお返しの品が貰えるらしいのだ。
ここで私は痛恨のケチを働いてしまい、風船を買わなかった。今思うと本当にバカだった。何が貰えたのか凄い気になる。もしこのエントリーを読んでこれからピューロランドに行こうという方がいらっしゃったら、是非キティちゃんに風船を渡してみて欲しい。
 
何も手みやげを持たずに人(猫)の家に入る私。
入り口を開けるとエントランスにいきなり妖精の格好をキティちゃんの像が登場。
自分の家に自分の(ry
いやしかし、さすが、本当にステキな雰囲気のつくりをしている。妖精キティ像の周りに花々が添えてあり、さらにその周りは噴水のオブジェがキラキラと輝いている。
入って右手に行くとキティちゃんのバスルームとベッドルームがあった。
お洒落で、いかにも優雅な雰囲気のバスルーム。乙女チックで、ちょっとしたお姫様気分が味わえそうなベッドルーム。
本当に素敵なベッドだったので写真を撮りたいなーと思ってずっとシャッターチャンスをうかがっていたのだが、家の中が女児だらけでなかなか上手くいかない。常にどこぞの女児が我先にとキティちゃんのベッドによじ登ろうとして、ベッドのみを撮りたいのに誰かしらが必ず枠に入ってしまうのだ。とうとう諦めて「後ろ向きで顔わかんねーならいいだろう」と、女児ごと写真撮って帰ってきた。
先に進むと、ダイニングとリビング兼書斎がバーンと広がる。
ダイニングにはでかいケーキがある。キティズハウスでは常にパーティをやっているようだ。
そして書斎には英語の分厚い本が沢山並んでいて、キティちゃんの読書家ぶりがうかがえる。でもよくよく見てみると置いてある本はなぜか辞典ばっか。変わっているなキティちゃん。

 
そしてそして、順路を辿っていくと、いよいよキティちゃんのプライベートルームへ。ここでモノホンのキティちゃんと一緒に写真が撮れる!
家族連れやカップルがグループ毎に順々にキティちゃんの部屋に入っていく。
緊張しながら待っていると、ついに私の番が来た!
扉を開けると…果たしてそこには“あの”キティちゃんがいらっしゃった。可愛らしい、それでいて上品で優しげな挙動で私を迎え入れてくれるキティちゃん。ううぅ…お会いしとうございました!
キティちゃんとの写真は、部屋に用意された専用のカメラの他に自分で持ち込んだカメラでも撮ってもらえる。
私もさすがに照れて思い切ったポーズは取れなかったが、変に余所余所しくもならないよう、きちんとキティちゃんに寄り添って写真を撮らせていただいた。
いやー、なんかガチで嬉しかったよ。別に特別なことをしてもらったってわけじゃないんだけどさ、キティちゃんが本当にあのキティちゃんだったってのを体感しただけで、一気にファンになってしまいました。
大袈裟ではなく、これだけでピューロランドに来て良かったなと思った。
 
…しかし、このあと、私はピューロランド内でとても恐ろしい体験をするのでした。
 
つづく

ハローキティ パッとひろがる! キティのおうち

ハローキティ パッとひろがる! キティのおうち

*1:ナンジャタウンのあまりにも開き直ったジャックのされぶりには逆に感嘆する

*2:この話によると結構凄いぞ、キティちゃん。http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1348900318

*3:偶然キャンペーン中だった

「大阪に行ってきたよ」のコーナー


【ネタ】…大阪旅行
 
【説明】…大阪に行ってきた時のオモシロエピソードを募集するコーナー
一部、マンガ『孤独のグルメ』とゲーム『ドラゴンクエスト3』のネタが説明もなしに混じっています。ご存知ない方はなんとなくで楽しんで下さい。
また、写真を新世界以外でほとんど撮っていなかったため、文章の内容に関わらずてきとーな写真ばかり貼ってあります。
 
【独断】…いい旅夢キウン
先日、出張とは名ばかりの大阪旅行に行ってきた。一泊二日。
毎年仕事で大阪には行っているものの、いつも缶詰状態で街中を回る機会はほとんどなかった。
今回も仕事ではあるものの、やる事は少なく、そのほとんどが自由時間。ここぞとばかりに行き当たりばったりな観光をしてきた。
 
私の大阪の予備知識はスーパーファミコンソフト『初代熱血硬派くにおくん』しかない。
つまり街中を歩いていると、ヤンキーや女子高生や阪神ファンが脈絡もなくエンカウントしてきて喧嘩になるというのが、私の大阪のイメージだ。
梅田にいる府民が一番のザコで、心斎橋に行くと少し強くなり、難波あたりに行くとなかなか手強くなる。通天閣あたりでヤンキーの上位種であるモヒカンライダーが出没し、甲子園にはたまに鬼のように強い阪神ファンが現れ、もの凄い勢いでこちらにメガホンを投げつけてくる。
そして、そんな荒ぶる府民たちを力で押さえつけるのが史上最強の大阪府警ボブ・サップみたいなガタイをした警察官がパンチ一発でヤンキーたちを屠っていく。(本当にそんなゲームなんです)
 
そんな、暴力のみが物を言う世紀末都市・大阪。
私も身ぐるみ剥がされて『龍が如く2』よろしく道頓堀に投げ捨てられることを覚悟して向かったのだが…
 
…これが意外と、大阪の皆さんお優しかった。
仕事に関係する人達は平身低頭だったし、街中を歩く人達に道を尋ねてもみんな凄く丁寧に教えてくれる。むしろこちらの望んでいる回答に一つ二つ情報を付け加えてくれたりする。道路や電車内のマナーも特に悪い・荒っぽいと感じることもなかった。おまけに、チェックイン時間よりも大分前にホテルに着いたら、フロントの方が早めに部屋を開けてくれる始末。
…こんなの俺の知っている大阪じゃない。
エンカウント率が高すぎて満足に電車も乗れないのが大阪ではなかったのか。仕方ないから地下鉄を自力で歩いていたらそこでもエンカウントして電車が当たり前のようにヤンキーたちをひき殺していくのが大阪ではなかったのか。
…たまたま良い面を見たからといって決して油断はしないが、少なくとも今回行ってみた限りでは大阪の人達は優しかった。
 
 
着いた初日の昼にパッとその日の仕事を済ませ、とっとと観光に出掛けた。
行ったのは新世界・通天閣。これがなんだかメチャクチャ不思議な場所だった。
間違いなく観光地ではあるはずなのだ。有名なところだし。実際「The大阪!」と言わんばかりのド派手な看板が数多く並び、観光客の目を引いている。しかし、観光地にしてはなんか変なのである。
 
夏休み…しかもお盆の真っ最中、大通りも細い路地も人でごった返している。
串カツ屋の客引きが外国人観光客を両サイドからがっちりホールドしていたり、でっかい河豚の人形が宙に浮かんでいたり、まぁ、とにかく目にも賑やかなこと。劇場も沢山あって、演劇やお笑いライブもそこかしこでやっている。
…と思いきや、路地をよく見ると将棋場(?)みたいなところが何カ所かあり、数十人のオッサンたちがひしめき合って熱く将棋をしていたりする。観光地なのに?
他には凄いふつーに床屋がある。いや、床屋くらいあってもいいだろうが、まさかの800円カット。東京にも最近1000円カットの店は増えてきたが、さすが大阪、上を行ってくれる。失礼な言い方かもしれないが、本当に地元の人御用達という感じの床屋さんだ。
で、少し路地の裏手に入るとポルノ映画をやっている劇場があったりする。…観光に来てポルノ映画という選択もなかなかないだろうし、やはり地元の人がメインの客層なのだろうか。
とにかく、観光地なのに生活臭も強く、なーんとも不思議な空間なのである。
予備知識のない観光客にとってはただのカオスな通りなので、もう少し事前に情報を仕入れた上で新世界を回ってみたかったもんだ。
 
一応、新世界に行ったことのある知人から「新世界にある美味しい串カツ屋」の地図をいただいていたのだが、店の名前がわからない上に、地図もドラゴンレーダー並にアバウトなものだったので、私が昼食を取った串カツ屋さんがその店だったのかどうかも判らない。ここには串カツ屋さんが無数にあるのだ。
大行列をつくっている店もあったが、とりあえず程々に混んでいる店に入った。
あからさまに外様の空気を放つ私が、一人で酒も飲まずに賑々しい店でもそもそと串カツを食っている様は、我ながら完全に『孤独のグルメ』だなぁと思った。
慣れない手つきで独り串カツを食べる私に気を遣って、店員さんが明るく色々と話し掛けてくれるのだが、ローテンションで丁寧に返そうとする私がなんか気取っているみたいな構図になってしまってどうにもやりづらい。
でも、生まれて初めて食べた串カツは本当に凄く美味しかった。なんで東京にはあまりないのだろう。

  
さて初日の夜、実はツイッター上で知り合った方と飲みに行った。
仕事や観光よりも個人的にはこちらがメインイベントである。せっかく大阪に行くのだから、仲良くさせてもらっている大阪のフォロワーさんに会ってみたかった。ネットで知り合った方とリアルに会ってみるというのは、初めての経験だ。
…と言っておいてなんだが、どんな人とどんな話をしたかは一切書かない…
いや、こんな厠ブログのくせに勿体つけている…というわけではなく、先方のプライバシーに関わる事でもあるので、やはり一応具体的なことは書かない方がいいかなと思った。
 
2日目の夜にもやはりツイッターで知り合った違う方とお会いして、両者ともに私とプリクラを撮っていただいた。
プリクラなんて撮るのは10年ぶりだったのだが、最近のプリクラの進化っぷりには驚かされた。
目は異様に大きくされるし、眉毛のラインはスーっと綺麗に修正されている。唇はツヤっツヤ。髭のそり残しなんて微塵も写らない。要するに自動でフルメイクが施された顔になるみたいだ。
確かに写真写りってのは大事だが、もはや100点満点を超えた詐欺みたいなルックスに仕上がっている。私なんてまるでアルティメットフルメイク状態の蓮舫さんのようだ。
…とにもかくにもとてもいい思い出の品ができた。
どちらともお会いできて有意義な時間が過ごせたし、以後の付き合いもより近くに感じられるようになった。
オフで会うことが日常化している人からすれば「だからなんだ」って話なんだけど、私としては凄く大きな出来事だった。
 
一通り飲んで話して、初日のイベントは終了。ホテルへ帰る。
ホテルは梅田に予約していたのだが、これがまさかの風俗街のど真ん中。夜にホテル周辺を彷徨いていると全方位から誘われること誘われること。
旅先という解放感もあり、ここは誘惑に身を委ねたいところではあるが、断腸の思いで我慢した。
千切れた腸を抱えながら歩いていると、「兄ちゃんええ体してまんなぁ!ヤクザやらへんか!」とのお誘いもいただいた。
「あぁー、そう、これ! これが私の求めていた大阪の空気だよ!」
なとど失礼なことを考えながら部屋に戻る。…有料チャンネルカードも買わなかった。えらい!
 
百式観音をする寿司屋と、何をするのか全くわからない大西ユカリショーのポスター
 
2日目。
とっとと仕事を済ませて、昼には道頓堀に。
道頓堀は大分前の出張でも行ったことはあったが、本当に行っただけだった。みんなで飲んで終わり。で、今回も行っただけになってしまった。独りで食べて終わり。
以前行った時は日韓サッカーワールドカップの真っ最中で、まぁーそれはもう通りは日本サポーターでごった返していた。
地理がわからなくてうろうろしていたら、日本が勝利を決めた瞬間に道頓堀全体がぎゃわーってなって、見知らぬお姉様に抱きつかれた良い思い出がある。
…それはともかく、店が多すぎてわけがわからない。新世界は串カツ屋だらけだったけど、道頓堀は飲み屋とたこ焼き屋ばっかり。
今回は、一人、たこ焼きを食べた。美味しかった。
 
夕方にはツイッターで知り合った方と梅田で待ち合わせをしているのだが、まだかなり時間は余っている。
道頓堀は食べ物屋ばかりなので、ここは梅田に戻ってお洒落にショッピングでもしようと思い*1、梅田駅近くの阪急百貨店メンズ館へ足を運ぶ。しかし…
これが…高い!絶対に高い!
全ての商品が本当に高額なのである。所謂ブランド物しか置いていないデパートで、建物の造りからしてなんか“上質”な感じ。イヤな予感はしていたが…それにしたって予想を遙かに超える歯の立たなさ。
こっちが着ているのはルイーダの酒場でデフォで支給されるただの「ぬののふく」だ。本来は私なんかが店内を彷徨くのもいけないんじゃないかというような雰囲気。だって「まほうのよろい」クラスの装備品しか売ってないんだもの。エジンベアの門番よろしく「いなかものはかえれかえれ!」と言われるんじゃないかと思った。
一見ふつーっぽいシャツを見つけて、「これなら買えるんじゃないかな…」と思って恐る恐る値札を見てみると…当たり前のように5桁の数字が書いてあったりする。…ド、ドリームキャストが定価で買えるぞ!
 
そんなわけで、メンズ阪急から早々に退散し、お隣のHEP FIVEというデパートに入ってみる。
このビルにあるスターバックスが待ち合わせ場所だ。約束の時間まであと2時間くらいはあるけど、なんとかこのビルの中で時間を潰したい。真夏の快晴、外には絶対に出たくない。これから大事な人と会うのに汗だくだくは勘弁だ。
 
しかし、このHEP FIVEがまた曲者。
カジュアルなファッション全般を取り揃えているものの、基本的には若い女の子向けの店が多いのだ。で、折しも時節は夏休み。ビルの中を女子中高生がわっさわっさと大量に蠢いている。キラキラしていて結構なことだが私にとってはここも完全にアウェーだ。どう見ても私は変質者のポジション。
一応男性用の洋服店もあったので見てみたが、私からすると小さい服ばかりで買い物は早々に断念した。B系を取り扱っておいて長身用のがないってどういうことだ。
仕方ないからなんか軽くスイーツでもいただこうかと思ったら、洋菓子店は女の巣窟。ダイブしたい…いや今の無し。とても男一人で入れる雰囲気ではない。諦めて他の店へ。
しかし、他のレストランはわりとガッツリ食事をするところばかりで、これから飲みに行くってのにそんな食べるわけにもいかない。
じゃあもういっそあちこち行くの諦めて、今からスターバックスで待っていよう。
…と思ったら、スタバがコミケ壁サークル並の大行列…
あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
 
HEP FIVEの観覧車と、夕方の梅田
   
にっちもさっちも行かなくなって、トイレに逃げ込んで独りで泣いた。
トイレで泣くなんて小学生以来の経験ではないだろうか。大阪に打ちのめされた。
なんなんだよこのビル(HEP FIVE)。観覧車とか付いてるし。クレイジー過ぎるだろ。俺だって中高生くらいのときにデートで来たかったよ。
 
結局スタバの大行列に並んだ。一人だったために意外と早く席に通される。
しかし待ち人が来るまでまだ1時間以上ある。一人、ダークモカチップクリームフラペチーノ一杯でずっと席を埋めていていいものなのだろうか。大行列自体は続いている。
まだ誰かと会話をしているというのならば体裁もいいだろうが、私はiPhoneで所在なさ気にツイッターをやっているだけだ。心なしか並んでいる方々からの視線が痛い。
やはりトイレでずっと泣いていた方が良かったのではないかと思いながら、ダークモカチップクリームフラペチーノがすぐに空になってしまわないよう、慎重に慎重にズズ…と、飲んでいた。
永遠に続きそうで一瞬のワンサマー。
約束の時間…果たして待ち人が来た時はその方が神様に見えた。あまりにも一人で長く居すぎて声を発していなかったため、発声が上手く出来ず「はかっ…は、はじめしまて!」となってしまった。
 
そんなこんなで、その後楽しく飲んでプリクラ撮って東京に帰りましたとさ。
…実は新幹線の終電に間に合わなかったから、新大阪のネットカフェでもう一泊したんだけどね。
バカボンド』を胤舜戦のあとくらいから全然読んでいなかったのを思い出して、この機会にネットカフェで一気読みさせてもらったんだけど、これがめちゃくちゃ面白くてかつ勉強になった。
あまりにも『バカボンド』にハマり過ぎて、一睡もすることなく新幹線の始発へ。
なんか最後まで無計画でまとまりのない旅だったけど凄い満足した。
 
…これで帰りの新幹線でジェットシウマイをかましていれば、完全に『孤独のグルメ』だったな。
 
おわり

初代熱血硬派くにおくん

初代熱血硬派くにおくん

*1:東京でもしたことないくせに

ローゼンメイデン


【ネタ】…アニメ ローゼンメイデン(2004) 制作:ノーマッド 監督:松尾衡 原作:PEACH-PIT
 
【説明】…「アンティークドールの戦い」をコンセプトにしたテレビアニメ作品
引きこもりの中学生の少年・桜田ジュン。鬱屈した性格の彼は、ネット通販で購入とクーリングオフを繰り返してスリルを味わう日々を送っていた。
そんなある日、彼は怪しげなダイレクトメールを受け取り、そこに書かれた「まきますか まきませんか」との問いに、軽い気持ちで応えてしまう。すると薔薇の装飾金具の付いた重厚な革製の鞄が忽然と彼の部屋に現れる。
鞄を開けると、中にはまるで生きているかのように精巧に作られたアンティークドール(少女人形)が収まっていた。興味半分にジュンが螺子を巻くと、人形は目覚め、「ローゼンメイデン第5ドール“真紅”」と名乗り、ジュンに対して、自分と契約して家来となる事を要求する。
真紅の尊大な態度に反発したジュンだったが、突如窓ガラスを割って侵入してきた人形に命を狙われ、訳も分からぬうちに真紅と止む無く契約を交わしてしまう。
真紅に関わる事により争いに巻き込まれてしまったジュンは、様々なドール達やその関係者達と出会っていくことになる。

 
【独断】…せっかくだから俺はこの赤のドールを選ぶぜ!
二次裏で評判だったアニメ作品を見ていこうツアーその11。『ローゼンメイデン』。
ツアーその10が2010年3月に書いた『サザエさん』のエントリーだったので、1年4ヶ月ぶりに続きを書いたことになる。ツアー的にはその間ずっとエンドレスでサザエさんを見続けていたということか。…地獄だな。
 
ギャラクシーエンジェル』に次いで二次裏と切っても切り離せないアニメ、それが本作『ローゼンメイデン』だ。
アニメ本編自体が大好評だったことはもちろん、各キャラクターもそれぞれに人気を博し、二次裏内でも二次創作・三次創作が数多く作られることとなった。
「だわわだわわ」と歌う真紅、苺パスタを轟然とすする雛苺、なぜか営業マンになっている翠星石、ただのイジメられっこ水銀燈、変質者扱いのジュン…各キャラクターが“二次裏キャラ”として定着し、多くの派生ネタを生み、としあきたちに愛された。
 
たしかに『ローゼンメイデン』はキャラクターがもの凄く立っていて、ヴィジュアルインパクトも強い。ドレッシーな人形たちが喋って戦うという設定自体もかなり奇抜だ。良くも悪くもネタになりやすい作品ではある。
しかし、これが改めて見てみると、1話1話の脚本、細かな演出、主人公のジュンが徐々に生きる力を手に入れていく物語の構成まで、本当に全てに渡って非常に良くできた傑作なのである。
 
主人公の桜田ジュンは中学2年生。
ジュンはとある事が切っ掛けで心に傷を負い、学校に通えなくなってしまい、自宅から出ることもほとんどなく、自室にこもってネット通販で怪しげなオカルトグッズを注文する日々を送っていた。
そんなある日、彼は妙なダイレクトメールを受け取り、そこに書かれた「まきますか まきませんか」との問いに軽い気持ちで応えてしまう。すると薔薇の装飾金具の付いた重厚な革製の鞄が自室に忽然と現れる。
鞄を開けると、中にはまるで生きているかのように精巧に作られたアンティークドール(少女人形)が収まっていた。興味半分にジュンが螺子を巻くと、人形は目覚め、自ら「ローゼンメイデン第5ドール“真紅”」と名乗り、ジュンに対して、自分と契約して家来になる事を要求する。
ジュンは真紅と契約をすることで、「アリスゲーム」と呼ばれる魔力を持った人形同士の戦いに巻き込まれていく。

激しい戦いにより桜田家の窓ガラスはよく割れる
 
真紅たちローゼンメイデンの戦いを通じてジュンが成長していく姿が描かれるわけだが、おそらく、真っ当な感性の持ち主が見たら、初期のジュンに対して良い印象は全く抱かないだろう。
やるべき事は何もせず、自室にこもってクーリングオフを前提にオカルトグッズを注文する毎日。優しく手を差し伸べる姉(のり)のことは邪険にする。で、自暴自棄になっているくせにいざというときは臆病風を吹かす…
客観的な事実だけ見ればジュンは最低である。世の中にはへたれ萌えというものもあるらしいが、それにしてもへたれ過ぎてて良い所が全くない。
ただ、これがジュンに感情移入できるとまた少し違って見えてくる。彼は心に傷を負っていて、これでも本人なりにギリギリのところで踏ん張っているのである。
中学時代の私もジュンに近いところがあって、毎日ちゃんと学校に行っている人達が眩しく見えて仕方がなかった。本作はそういう「当たり前」ができない苦しみを丁寧に表現している。
ジュンは非常に繊細で、ちょっとした事でトラウマが掘り返され、何かあると身動きが取れなくなるほど凹んでしまう。そうなってしまうこと自体がダメだと思っていても、自分自身ではどうにもならない。
しかし、荒廃しきったかのような彼の心の奥底には、優しさや高潔さが美しく健気に残されている。ジュンはドール達との出会いを切っ掛けに、自分に残されたその美しい心の芽を少しずつ育み、生きる強さを身につけていく。
 
いいなぁと思うのが、ジュンを導いていく真紅が、過干渉ではないところだ。
真紅はいつもエレガントで気位が高く、ジュンが間違った行いをした時にスパッと教育するだけ*1。ジュンはあくまで真紅の家来であり、家来としてふさわしい振る舞いを求められる。
ジュンも当然反抗は試みるが、聡明な上に魔力も使える真紅にはとても太刀打ちできない。この初めから勝負の決まっている主従のじゃれ合いが見ていて微笑ましい*2
そんなこんなしながらも、真紅はジュンの心の傷に気付いた上で、彼を正しい方向に導いていく。

 
アニメ第一期に当たる本作*3には、真紅、水銀燈雛苺翠星石蒼星石の、5体のローゼンメイデンが登場する。
実質的に「敵キャラ」に当たるのはその中で水銀燈というドールだけだ。二次創作でよく水銀燈がいじめられっ子的な扱いをされるのはそのためで*4、真紅たちその他のドールは紆余曲折ありながらも仲良くやっている。
本来、ローゼンメイデンの宿命として、全てのドールは互いの命に相当するローザミスティカを奪い合う戦い━「アリスゲーム」をしなければならないのだが、ある意味これを大真面目にやっているのは水銀燈だけとも言える。他の姉妹は桜田家でテレビ人形劇『くんくん探偵』にうつつを抜かすぬるい日々を送っている。
冷酷で孤高、そして一途に健気に“アリス”を目指す水銀燈は、人気も高く、コアなファンを数多く抱える。主にMっ気のあるファンが多い。
雛苺は見た目も心も幼い末の妹。ジュンに次いで真紅の家来その2。甘党。
翠星石は見た目こそ淑やかで美しいが、喋らせるとワガママで口が悪い。しかし心根は優しい女の子。
蒼星石は我の強い姉妹たちの中にあって比較的冷静沈着で空気を取り持つ男の子。翠星石とは双子のドールに当たる。
ゴシック調の服装をした喋る人形達が現代日本の一軒家の中でわいわいやるわけで、その光景はなかなかシュールで面白い。それぞれのドールも個性が強く、会話を聞いているだけでも胸焼けを起こしそうな勢い。

左から、蒼星石翠星石雛苺、真紅、くんくん
 
物語は、ジュンが自分の心の傷と向かい合って葛藤したり、真紅が他の姉妹の問題を解決したり、みんなでストーカー・水銀燈を返り討ちにしたりして進んでいく。具体的なことはネタバレになってしまうので本編をご覧になって頂きたい。基本的にはアリスゲーム至上主義の水銀燈と戦っていくのが軸になる。
このアニメ、決して作画がハイクオリティというわけではないのだが、背景や小物は丁寧に描かれていて、1クール作品でありながらキャラクターの所作やデフォルメもいい塩梅にこなれている。限られた予算・期間・スタッフの中でもの凄く練り上げられたつくりをしている。
声優さんの演技も本当に見事なまでのハマりっぷりで、特に真紅役の沢城みゆきさんの涼やかながら艶のある声は、本当に聞いていていいなぁと思った。真紅の上品な立ち振る舞いに沢城さんの声がビシっと筋を入れてくれている感じ。 
結末の好き嫌いはあるだろうが、総じて非常に素晴らしい作品だと思う。

↑クリックして味のあるてきとー作画をチェック! 階段上のジュンと雛苺に注目!
 
そんなわけで、未見の方には是非とも本作をご覧になっていただきたい。…のだが、一つお願いがある。
…これから視聴しようとされる方…そう、貴方だ。どうか真紅のファンになってはくれないだろうか。
私は本作に出てくるローゼンメイデンの中で真紅が一番大好きなのだが、「真紅はあまり人気がない」というような噂をよく耳にする。それ故に、ネット上ではなんか非常に不名誉なあだ名まで付けられていて、一ファンとしては憤りを禁じ得ない。
翠星石ツンデレキャラとして非常に人気があり、また水銀燈もHENTAIたちからの支持が厚いらしく、本来は人気No.1でなければならない主役格の真紅が、相対的に影が薄くなってしまっているようなのだ。
そもそも、相対的にも何も、どこをどう取っても真紅の魅力は究極絶対ではないだろうか。
智性と美貌を兼ね備え、振る舞いの全てに気品があり、おまけに実は優しいときている。しかも紅い。紅は主役の色だろう。実際主役だ!
なぜここまでパーフェクトなドールが人気投票で辛酸を嘗めなければならないのか。
「ヒャッハー! ローゼンメイデン第5ドール真紅様のお通りだわぁ! そこの水銀燈! 種もみをよこせぇ!」とか、
「ジャンクは焼却だわぁ! 喰らえぃ水銀燈!」とか、
水銀燈…貴様の羽もすべて私の肉厚に吸収されてしまうというわけだわ!」とか、
そんなようなことは一切していないだろう。聡明で美しく心の広い真紅がなぜ水銀燈ごときに後れを取らなければならないのか…。万歩譲って翠星石に負けるのはまだ解るが(解っちゃうんだ)、こればかりは納得がいかない。
安易なキャラ萌えやふしだらなマゾヒズムに傾倒せず、真摯に作品を視聴すれば、真紅が最も魅力的であることはご理解いだだけると思う。

 
アニメ『ローゼンメイデン』。
ヴィジュアルイメージから逆に倦厭してしまう人もいるかもしれないが、真面目に良い作品です。
全12話に綺麗にきっちりと内容が詰め込まれています。
是非。
 
おわり

ローゼンメイデン DVD-BOX

ローゼンメイデン DVD-BOX

*1:冷たいことを言い放って放置することもある

*2:ジュンにとっては完全に不本意だろうが

*3:当初、続編の予定はなかったが、大好評を受けて二期、OVAと続編が製作された

*4:他にもシリアスな理由があるけどネタバレになるので避けます

けものがれ、俺らの猿と


【ネタ】…映画 けものがれ、俺らの猿と(2000) 監督:須永秀明 原作:町田康 主演:永瀬正敏
 
【説明】…金も家族もない脚本家が、取材先で様々なトラブルに見舞われていく不条理映画
妻に逃げられ、家主の義父から古屋敷の退去を命じられるも、金がなくて引っ越しもできない脚本家の佐志(さし)。そんな彼にある日映画脚本の仕事が舞い込んでくる。
しかし、プロデューサーの楮山(かじやま)に言われるがまま指定された場所に視察へ出かけるが、様々なトラブルが発生して…

 
【独断】…青春映画
全然「青春映画」なんかじゃない。
女房に逃げられ金もない30男が、ただひたすら不可思議なトラブルに見舞われるというだけの話だ。
各所レビューサイトを見ても賛否両論だし、私もこの映画を「面白いよ!」と素直にススメることなんて絶対にできやしない。でも大好きな映画である。
 
主人公の佐志は冴えない脚本家。妻に逃げられ、家主の義父からは住居の退去を命じられている。
その家も完全にゴミ屋敷と化し、物は散乱し虫が大量に湧いている。近所からも煙たがられて、家の外壁は落書きだらけ。おまけに日常的に粗大ゴミを庭に不法投棄される始末。引っ越したいが、金もなければ仕事もない。
どうにもならないそんな彼の前に、ある日、自称大物映画プロデューサーの楮山という男が現れる。
楮山は佐志に「ゴミ処分場を巡る環境問題をテーマとした、美男美女が活躍する恋愛娯楽映画」の脚本を依頼。楮山を胡散臭いとは思いつつも、数百万の取材費と高額な脚本料に目がくらみ、佐志はその仕事を承諾する。
しかし、佐志が楮山の指定する取材先に行くと、悉く不可思議なトラブルに巻き込まれていく…

 
一言で言えば本作は「不条理映画」だ。意味不明な話とシュールな映像とそれを過激に盛り立てる音楽で構成された、中身は全くないただ単に不条理なだけの作品である。
「ぴあ映画生活」というサイトではこの映画のカテゴリは「パニック」になっていた。たしかに無理矢理ジャンルで分けるとそうなるのかもしれない。
具体的に佐志がどのようなトラブルに見舞われるかはネタバレになるので書かないが、とにかく悪い夢でも見ているかのような常軌を逸した目に遭い続ける。わけのわからない出来事の連続に、佐志は次第に自分が経験していることが夢なのか現実なのかも定かではなくなってくる。
 
主人公が現実味のない世界で漂う作品といえば、有名なものでは『ねじ式』や『夢十夜』、『不思議の国のアリス』などがある。
私はそういう“曖昧な世界の話”はそれだけで好きだったりするが、本作『けものがれ、俺らの猿と』はねじ式みたいに官能的じゃないし、夢十夜みたいな美しさはないし、アリスみたいなオモシロ世界を見せてくれるわけでもない。ただ、奇妙で気持ち悪くてバカっぽい画が次から次へと出てくるだけだ。

 
だったらそんな映画の何が良いのかというと、主演の永瀬正敏さんが良いのである。
 
…え?
 
いや、私は別に永瀬さんのファンってわけじゃないんだけど、結構本気でそう思う。
私がこの映画をなんとなくながら大好きだと思えるのは、ハードボイルドっぽい雰囲気があるらだ。
実際にこんなもん(ヒドイ言い方)を「ハードボイルド」と呼んでいいのかどうかは判らないが、やさぐれた男が誰かに依頼されてパンクな事態に陥るってのは、どこか往年の探偵小説っぽくもある。で、その軸を作っているのが永瀬さんの演技なんじゃないかなぁと思う。
弱腰で情けなく、チンピラ的で、そのくせ良心は捨てていなくて、佇まいはどこか格好いい。そんな主人公をこの風変わりなシチュエーションの中で見事に演じきっている。
 
私は大学1年生の頃(2001年くらい)に初めて本作をWOWOWで目にしたのだが、この「曖昧な世界」と「歪んだハードボイルドっぽさ」が妙にツボにはまってしまい、さり気なく期待していたお色気シーンなんて1個もなかったのに結局最後まで見入ってしまった。
モラトリアムの時って、なんか世界そのものが曖昧に見えたりするだろう。自分が何でもできそうな気がしたり逆に何にもできなそうな気がしたり、可能性だけがぽんと置かれていて、経験も能力もなく、ただただ不安定。
私自身がたまたまそういう時に見たから、本作の曖昧でやさぐれた世界観がツボに来たのかなぁとも思う。
男たるもの、自由で、何も持たず、厄介ごとに巻き込まれる人生を送るべきだな。…と、無闇にそういうのに憧れた。
そういう意味で、本作は私にとって「青春映画」なのである。

 
さて、好き嫌いの分かれる物語はともかくとして、役者さんの演技は本当に素晴らしい。
主演の永瀬さんが格好いいのは前述したが、映画プロデューサーの楮山役を演じられている小松方正さんもまた凄くイイ。
喋りや笑い声、さり気ない一癖までもが一々胡散臭く、どこか不気味な迫力に満ちている。なんというか、朗らかな喪黒福造といった風情。変な話、私は楮山が喋っているのを見ているだけでも結構面白く感じられてしまう。

 
そしてそして、本作の目玉でもある奇人・田島役の鳥肌実閣下がまぁー最高にキモイ。
本作を初めて見た時、私は鳥肌中将のことを知らなかったので*1「この人本当にイカレてるんじゃないか!?」と思ったものである。実際、本当にイカレた人ではあるのだが、“そういう芸風”として本作でも突き抜けたものを見せてくれる。
…鳥肌中将も今では中年太りしてしまい完全にただの面白いメタボ右翼と化しているが、当時のお姿は本当に眉目麗しく妖しい魅力を放っている。ファンならば必見であろう。

 
面白さに関する保証は一切しないが、私が勝手に“青春”を感じてしまう本作『けものがれ、俺らの猿と』。
奇怪なシチュエーションが好きな人ならひょっとしたらハマるかも知れない。
このクソ暑い時期にぴったりの不快な映像で充ち満ちています。よろしければ是非。
 
おわり

*1:一応芸人さんです。多分

『グラップラー刃牙』松本梢江botの台詞を考えようスレ


【ネタ】…マンガ グラップラー刃牙シリーズ(1991-)
 
【説明】…松本梢江botを作る際の台詞を考えるスレッド(全部自演)

 
【独断】…病院だよゥッッ!!
7月は週二更新と言っていたのに…それどころか2週間も更新を怠ってしまった。
…色々とイヤな事が重なって大変だったのだ。
傷心のあまりツイッターのアイコンを『グラップラー刃牙』のヒロイン・松本梢江に変えて、梢江の非公式なりきりbotを始めている有様。
というかbotって完全人力でやるものなの?
まぁ、範馬刃牙の公式なりきりアカウントだって、以前、完全人力のくせにbotを名乗っていたので、これもいいのかなとは思う…*1
そんなわけで、数日間梢江になりきるので、これから書き込むツイートをここにメモとしてまとめておきたい。
 
・ 病院だよゥッッ!!(基本形)
・ 病院だよゥ〜(やる気無く)
・ 病院☆病院☆病院だよゥッッ!!(嬉)
・ BYOッBYOッBYOッ♪病院だYO!!(ラップ調)
・ びょ…♪びょ…♪病院だよゥ〜♪(ゲゲゲの鬼太郎風)
・ わたしもやるッッ
・ 刃牙くんの友達って…ひょっとして花山さんだけ…ッ?
・ わたしもこのマンガのヒロインだからわかる…この人…活躍しないッッ!!(シコルスキーを見て)
・ 最近、刃牙くんの家に誰か他の人がいるような気配がする。 …浮気ッ…?
・ 「足腰立たなくなるまでブッ叩く」はやっぱり言い過ぎだと思う
・ …一応、下着は上下揃えておいたんだ
・ 範馬勇次郎…大袈裟な伝説も、今日で終わりだ
・ ただいマリアさん(ブラックペンタゴン在住)
・ 一度『グラップラー刃牙』の女性登場人物みんなで同窓会なんてやってみたいなァ…
・ 『バキ』の頃の絵柄じゃなくて『範馬刃牙』の絵柄でSAGAを描いて欲しかったなァ…
・ イチバン強いからなんなのよッ イチバン強かったらどうだって言うの!? Peッ
・ みんなに無闇に病院をすすめまくっていたら紅葉さんに怒られたなう
・ 開放骨折を目撃するたびに5セント貰っていたら今頃大金持ちだぜ
・ ムサシに御飯あげなきゃ
・ 刃牙くんとは時間差をつけて帰ってきているけど、なんかお母さんにはバレてるっぽい…
・ お母さんが刃牙くんの体を拭いているときにお父さんのことを思い出しているのがマジで勘弁。絹代自重
・ よろしい、ならば病院だ
・ お前、いい大胸筋してんな。ちょっと揉ませろよ
・ ちょうしこいてんじゃねェよッッッ
・ ざまァみろ……やっぱり………変わってない
・ 刃牙くんが復活したときに、わたしより烈さんの方が大騒ぎしてた。あそこはわたしがはしゃぐところだよゥッッ!!
・ 彼氏がアメリカ大統領を攫って収監されたなう
・ わたしも刃牙くんを見てお父さんを思い出すことはある。全然似てないけど
・ Yahoo知恵袋に毒の治し方を訊いたら「kunimathu」さんて人から返事が来た
・ なんだかんだ言っても、花山さんって優しいよね
・ 烈さんは優しいし頼れるけど、正直、ノリがよくわからない…
・ 一応、わたし、お義父さんには認められたのよね…ッ?
・ 刃牙くんのお父さんて変な人だとは思っていたけど、まさか息子の性生活に現場で口を出してくるとは思わなかったわ
・ ヤクザ、謎の中国人、原始人、謎の霊長類…彼氏の友達に普通の人がいないよゥッッ!!
・ 死ぬまでやればいい。強いのは俺。イイヤ俺が強い。イイヤ俺ッ。イイヤ俺ッ。強いんだ星人。Peッ
・ 『範馬刃牙』に入ってからわたしの出番が少なすぎる。カマキリより出番が少ないってッッ!!
・ さっき刃牙くんとデートしている最中に、凄く大きな人影を二つ見掛けたような気が…
・ PEッ
・ 東京都、ラジオネーム:フラワーマウンテンさんからのリクエストです。「つわものがかり」で「気まぐれマックシング」
・ ズールはずーるい。なんちゃって☆
・ 鉄郎、全ての人がパンツをはいて生活するわけではないの
・ ルミナくんって可愛いわよね。名前の元ネタは佐藤ルミナ選手なのかしら
・ おい、バキ、家賃払え
・ ジャックさんは病院にすすめ甲斐があるわ
・ 早く寝ない子の家にはジャージとふんどしのお化けが来るわよ
 
以上ッッ!!
また新しく思い付いたら追加していこう。
 
手抜き更新ですみません。また頑張ります。
 
おわり

バキ特別編saga (ヤングチャンピオンコミックス)

バキ特別編saga (ヤングチャンピオンコミックス)

 
【追記】…梢江期間終了
2011年7月21日をもって好評のうちに(?)梢江bot期間は終了した。
私の場合、元々生身のフォロワーさんは60人くらいだったのだが、公式の範馬刃牙さんが応援してくれたことにより、梢江をやっている数日のうちにフォロワーさんの数が倍増した。リプライも数多くいただき、嬉しさ半分怖さ半分のエキサイティングな期間であった。
リアル傷心の精神療養として始まった「アイコンを(無断で)梢江にして、botになりきる」という意味不明のネタであったが、これを見て一緒に楽しんでくれた人がいたのなら幸いである。
板垣先生、秋田書店様、そして何より梢江ファンの皆様ごめんなさい&ありがとうございました。そして応援してくれた「範馬刃牙」さん、本当にありがとうございました。
 
最後にお別れ絵を貼っておく。自発的に絵を描くのは12年ぶりになった。
うちには画材もスキャナもデジカメもない。プリント用紙にシャーペンで描いた絵、それをiPhoneで撮った拙い画像だけど、いい思い出の品になった。
 
おしまい。

*1:というか範馬刃牙さんはなりきりと自称しておいて全然なりきっていない